テルのタイピング記

タイパー・テルによるタイピング記(旧ブログ -> http://uta202.blogspot.com/)

東京ゲームショウ 2022 東プレ REALFORCE ブース来訪レポート

まえがき

日本最大級のゲームの祭典「東京ゲームショウ 2022」に行って参りました!

もちろん最大の目当ては、タイパー御用達のキーボードブランド REALFORCE (東プレ株式会社)のブースです。

今回は現在開発中という完全新設計のゲーミングキーボードが目玉展示となっていましたが、タイパーの私としては必ずしも"ゲーミング"であることには特段の魅力を感じないのですが、単純に「新製品はしっかりチェックしておこう」くらいの気持ちで来訪しました。

REALFORCE に関するゲームニュース系記事は多いので、通常は私がわざわざ記事を書く必要も無いのですが、今回は開発中のゲーミングキーボードがかなり期待できるものだったこと東プレブースの社員さんから非常に有意義な話が聞けたので、共有したい(そして東プレは最高だと皆さんに知ってほしい)ので記事を書くことにしました。

tgs.nikkeibp.co.jp

 

開発中のゲーミングキーボード

基本情報については以下の記事などを参考にしてください。

pc.watch.impress.co.jp

game.watch.impress.co.jp

試打した感想など

以前からラインアップされているゲーミング機種の RGB シリーズは、通常の Realforce シリーズと打鍵感がわりと大きく違った(確かわりとクリッキーで打鍵音も大きかったような?)があったように記憶しています。またキー荷重 45g しか無く、all 30g がラインアップされていなかったため、all 30g ユーザーの私としては選択肢に入らない存在でした。

今回の開発中ゲーミングキーボードはしっかり all 30g も用意されており、かつ R2 や R3 など通常のラインアップに近いクセの無い打鍵感でした。また、R3 の黒キートップは表面摩擦が若干強いように感じて私の好みから外れるのですが、今回の開発中ゲーミングキーボードはさらっとした表面摩擦の少ない仕上がりで、期待感を抱かせてくれました。

そのほか R3 は無線接続に対応したことで外枠サイズが大きくなっているところ、開発中ゲーミングキーボードはかなりの省スペースを実現しています。これは好みが分かれるところだと思いますが、個人的には好感を抱きました。省スペース化にこだわるあまり REALFORCE ロゴすら背面に持っていったとのことです。ロゴは前面にあってほしいタイパーも多いかもしれませんが、私としてはロゴの有る無し自体というより、思想が前に出ているところが好みです。

ちなみに、キーがわりと高く浮いたような感じ(意味分からないと思いますが上の記事にある画像をよく見てください)になっています。ざっと試打してみた限りでは特に打鍵への影響は無いように感じましたが、もしかしたら何らかの良い影響もしくは悪い影響があるかもしれません。"ゲーミング"用途に適した形状としてこうなっているのか、デザイン的な理由による選択なのか分かりません。東プレ社員さんに聞いてみればよかったのですが、その場でそういう発想が出ず、聞かずに帰ってしまったのが心残りです。

 

東プレ社員さんへの突撃質問

実はこっちが今回の本題です!

前々から REALFORCE について気になっていたことがあり、勇気を出して質問してみました。

キートップの摩擦についての疑問

手放した R3

私は今 R2(R2TLSA-JP3-BK)を使用しているのですが、実は以前に一度 R3 を購入してから手放しています。R3 を手放した主要な理由は「無線接続の必要が無かったので、R2 の打鍵感が気に入っている以上、特に R3 に換える必要もなく、それなら省スペースな R2 の方が良かった」というものです冷静に考えると「じゃあなんで買ったんだよ」って話なんですけど、まあそれは勢いなので仕方ないとして、手放した理由の一つとして「キートップの摩擦が強く、打鍵感が好みでなかった」というものがありました。

疑問

上記の経験や、機種だけでなくキートップの色によっても打鍵感が違うことも過去の試打で分かっていました。(白は摩擦が弱い)今回のブースでも R3 を試打して再度色による摩擦感の違い(具体的には、R3 黒と R3 白の摩擦感がかなり違う)を再度実感していました。そのことから、以下の疑問が湧いてきました。

  1. なぜ今使っている R2 と今回買った R3 で摩擦感が違うのか?
  2. なぜキートップの色によって摩擦感が違うのか?

疑問 1. については「昇華印刷でなくレーザー印刷だったから」というのが理由の一つであることは分かっていました。まず前提知識として R2 までのレーザー印刷のキートップは昇華印刷と違って ABS 樹脂という材質を用いていた*1ようで、それが摩擦感の大きな違いに繋がっていたようです。ただし R3 ではレーザー印刷でも PBT 樹脂を使うようになった(つまり材質は昇華印刷と同じになった)とのことです。すると材質は変わらないということになりますが、恐らく私の購入した R3 はレーザー印刷であることによって摩擦感に違いが生じていたものと思われます。

疑念と不信感

私は元々レーザー印刷より昇華印刷の方が文字が消えにくい高級な印刷方法であることは認識していましたが、摩擦感に違いがあることに気付いていませんでした。R3 を購入するにあたって、自分の購入したい「黒・静音・all30g・テンキーレス」という条件で昇華印刷のラインアップが無いと知ったとき、「あー昇華印刷無いのかあ。まあ文字が消えても別に実害無いし、いいか~」と軽く考えて、レーザー印刷のものを購入しました。

まあ正直 9 割くらいは「買う前に試打しなかったのが悪かったな」と思ったのですが、1 割くらい東プレさんに対する若干の疑念や不信感が生まれました。それは「なんで昇華印刷のラインアップが無い機種があったの?」ということから始まり、以下のように膨らんでいきました。

  • なぜ打鍵感が違うのに昇華印刷のラインアップが無い機種があったのか?
  • コストや素材在庫等の問題かもしれないが、もしかして「摩擦」という重要な要素を開発陣が軽視しているのではないか
  • そもそも材質や印刷方法による摩擦の違いをちゃんと明確に認識しているのか? 実は大して気付いてなかったりするのではないか?

つまり、REALFORCE が現存する最高のキーボードシリーズであること(耐久性、 APC などの機能性、異常なほどの重量や堅牢なチルトスタンドによる安定性などなど)は疑っていないものの、超高速域のタイピング速度やタイピングの快適性に影響する「摩擦」に対する姿勢は真摯なものなのか? というのを疑ってしまったのです。

疑うと表現すると極端に響きそうなので弁明しておきますが、もちろん、東プレの方々は本気でキーボードを作っていると信じています。だからこそずっと REALFORCE を使っています。ただ、そうは言っても摩擦に対する意識が若干なおざりになっている可能性はあるかも? と思ってしまったわけです。

ブースにいた社員さんへの質問

このように REALFORCE 開発チームの姿勢が知りたかったことや、単純な疑問であった「色や材質による摩擦感の違い」の理由(特に、同じ R3 かつ昇華印刷で摩擦が違うことが不可解だった)を知りたかったこともあり、ブースにいた社員さんに質問をしてみました。

正直、

「我ながらめんどくせえ質問するよなあ…… 社員さんかアルバイトさんか分からないけど、そもそも知らないかもしれないし、知ってても嫌な顔されるかもしれないなあ……」

と思って尻込みしそうになりましたが、質問しないと後悔すると考え、なんとか切り出しました。

以下は、やり取りの再現です。正直細かい話の流れや表現など覚えていませんので、大筋こういう感じだった、という程度の再現です。細かい部分は実際の会話と大分違うと思います。

 

テル(以下、テ)「あのー…… ちょっとお聞きしたいんですが…… 細かいことなんですけれども……」
社員さん(以下、社)「はい、なんでしょう?」
テ「同じ R3 シリーズでも、白キートップだと摩擦が少なくて、黒キートップだと摩擦が強く感じるんですが、これって何故なんでしょうか? カタログなどを見ても材質は特に違わないように思うんですが……」

私としては、この時点で「もしかしたらイベントだけのアルバイトさんかもしれないから、答えられないかなあ」と思っていました。が……

社「そうですね、材質は PBT 樹脂というものを用いていて同じなんですけれども、色が違うと塗料など*2の配合が変わるため、実際の摩擦感は変わってきてしまいます。」
テ(!? めちゃスラスラ答えてくれるやん!? てかメインの材質は同じでも、塗料だけであれほどの違いが出るのか! やっぱカタログだけ見て買うんじゃなくて試打が必須だな……)

ここで「もしかしてこの人めっちゃ詳しいのか!?」と思い始めました。見た目はすごく若くて今風の方だったので、正直オタクっぽい話題についてこれないんじゃないか(偏見がひどい)と思っていたので驚きました。それで調子に乗ってどんどん深く突っ込み始めました。

テ「そうなんですか! ちなみに摩擦が強いのがあまり好みじゃなくて、弱いのが好きなんですが、色は黒が好きで……」
社「なるほど。材質や塗料の違いもありますが、昇華印刷なら少し摩擦が弱くなるんですが……」
テ(おお! 昇華印刷の摩擦の違いも意識してるんだ! やっぱすげえ!)

この時点で「摩擦の違いをちゃんと認識していないかも」という疑念が解消され、早速手のひらを返しはじめましたが、同時に疑問も抱きました。

テ(あれ? じゃあなんで重要性分かってるのに俺が買いたかったモデルは昇華印刷がラインアップされてなかったんだよ? ナメとんか? おォン?)

テ「実は R3 を一度購入して手放しているんですけど、そのとき自分の欲しかった all 30g で静音で日本語配列でテンキーレスの黒キートップモデルでは昇華印刷が無かったんですよね……」

内心、こんな八つ当たりみたいなことを言ってどうする、とも思ったのですが、つい言ってしまいました。嫌な気分にさせるかもと思ったのですが……

社「そうだったんですか、用意が無くて申し訳なかったです…… 今は昇華印刷が用意された機種をかなり増やしている*3んですが、確かに、今でも選べない機種もあります。申し訳ないです。」

テ「……」

半分八つ当たりみたいな発言でしたが、めちゃ丁寧に謝られてしまいました…… この時点で「摩擦の重要性を認識していないかも」という疑念も解消しました。やはり、東プレさんとしても「できる限りラインアップを充実させたい」とは思って下さっているし、そのように動いて下さっているけれども、何らかの事情でそう簡単には昇華印刷を全ての機種に含められるわけではないことが分かりました。

社「…… ただ、追加購入になってしまうので申し訳ないんですが、カスタム用のキートップは全て(!)昇華印刷でご用意させて頂いているので、使いたい機種に希望のキートップが無いという場合は、そちらをご利用頂くこともできます。」

テ「!! なるほど、カスタムキートップは全て昇華印刷なんですか! 確かにそれはいいですね!」

これが、冒頭で話していた有益情報でした。いや、これ自体は大した情報ではないかもしれません。調べれば簡単に分かるからです。しかし、この社員さんとのこれまでのやり取りを踏まえて、僕はこの情報から以下のような解釈を得ました。

  • 東プレさんはキートップの摩擦の重要性をしっかりと把握している
  • それをラインアップに反映する努力をしているが、必ずしも完璧にはいかない(特に新シリーズのリリース当初は難しい)
  • しかし、その解決策として汎用的なキートップを昇華印刷で提供している(もちろん色を変えたいなどの需要に応える目的がメインだと思うが、摩擦感の好みに対応することも目的の一つに据え、社員がその認識を共有している)
  • もしかしたら、色のバリエーションが豊富なことも、塗料の配合による摩擦感の違いがあることも踏まえているのかもしれない(これは考えすぎかもしれないけど、結果としてそういうメリットが生まれていることは間違いない)
結論

私の如きしょーもない人間が東プレ様および REALFORCE 制作チーム様にしょーもない疑念と不信感を抱いてしまったことは大きな間違いだったことを痛感しました!!

やはり東プレ様は神であり、REALFORCE 制作チームは神でした。超高速域のタイピング速度や打鍵感の快適さに重要な影響を与えるキートップの摩擦」に対して東プレ REALFORCE はしっかりと向き合い、現実的な解決策を提供するために全力を尽くしてくれていると確信しました。

こういった細かいことについてしっかりと考えを巡らせて下さっているので、今後のシリーズ展開においても、こういった部分はきっと改善に向かっていくか、少なくとも悪い方向へ進むことはないのだろうと期待させてくれました。

 

ということで、タイパーのみんな! 安心して REALFORCE にいつまでもついていこうぜ!!(宗教)

*1:あまり細かいところまでは調べていないので例外はあるかもしれません

*2:本当に「など」と言っていたか覚えていません。ちょっと曖昧です

*3:後から調べたところ、本当にその通りでした。私が欲しかった all30g 静音日本語配列テンキーレス黒キートップモデルにも昇華印刷がラインアップされていました。

Sense and Sensation ~タイピングって何? タイピングの何が好き? を考えるためのフレームワーク~

この記事は、たのん さん主催 タイパー Advent Calendar 2021 に登録しています。

昨日(12/19)の記事は、TEA_R@xan さんの 中学校生活でタイピングは役に立つのか?(予定。現在執筆中とのこと) です。

明日の記事は、もきらー さんの 歌謡タイピング劇場トリセツ(予定) です。

 

まえがき

「え、タイピングが趣味? キーボードの早打ち?」

 

「それ、何の意味があるの?」

「なんか地味だね。何が楽しいの?」

 

たまに、こんな質問をされるタイパーがいるみたいですね。

これ、煽りとして言われる場合*1は別として、わりと興味深い質問だと思います。

 

「タイピングの『意味』って何だ?」

「タイピングの『楽しさ』って何だ?」

 

タイピングを楽しむ中で、もしくは、タイピングのことを誰かと話したりインターネットで調べたりする中で、あなた自身、上記のような疑問を持ったことがありませんか?

もしくは、誰かの語る「タイピング」のかたち・・・あり方・・・に対して、「タイピングってそういうもんじゃない」とか「そんなのつまんねーだろ」とか、逆に「そういうタイピングもありだな」とか「それ面白そう!」とか、思ったことはないでしょうか。

 

こういう疑問や感想を抱くことがあるのは、

 

タイピングの「意味」や「楽しさ」についての考え方が、人によって大きく異なる

(もっと根本的には、タイピングって何なのか、についても)

 

ことが理由ですよね。

 

まあ実際は「そんなのどうでもいい、好きだから好きなんだ」でいいんですけどね。とは言え、どういうところが好きなのか、自分の気持ちをもっと知ってみたくないですか? 好きなもののことをもっと知りたい、もっと知ったらもっと好きになる。それは人間として当然のことです*2

また、「何が楽しいの?」と言われて「こういうところが楽しい!」と胸を張って言えるようにしたいですし、どうせなら、相手に「へえ、面白そうだね。何か良いソフトとかある?」なんて言わせたいものです。そのためには、自分にとってのタイピングの魅力だけでなく、自分には刺さらない・・・・・けれど「他の誰か」には刺さる・・・ような答えも用意しておきたいです。そのためには、客観的に、色んな面からタイピングの「意味」と「楽しさ」を見つめてみることが必要だと思います。

 

ということで、タイピングに「意味」ってあるのか? タイピングの何が楽しいのか? そもそもタイピングって何なのか? そんなことを一緒に考えていきたかったのですが……

丁寧丁寧丁寧に考えていくと、ブログ記事 1 本では全然足りないことに気付きました。

 

ということで今回は、「タイピングって何? タイピングの何が好き?」を考える前に、それを「それってあなたの感想ですよね」という部分と「それはあなたの感想ではないですね」という部分に分けたり、タイピングの意義や意味といった理性的な部分と「スゴい!」「楽しい!」といった本能的な部分に分けたり、それらの関係を考えたりと、「タイピングって何? タイピングの何が好き? を考えるためのフレームワーク(上手に考えるための助けになるような枠組み)」を自分なりに提案してみようと思います。

 

一応、あたりまえの確認

もちろん言うまでもなく(言うまでもありませんよね?)、一人ひとりのタイパー*3にとって、タイピングに意味なんて本来は要らないです。だって、趣味ですから。意味が無いといけないなら、それは仕事です。

そして、何が楽しいのかも、別に本来はどうでもいいです。他でもない自分の人生において、「何が楽しいのか」なんてどうでもよくて、大事なのは「楽しいか」「楽しくないか」ですから。「楽しいならやればいい」し「楽しくないならやらなければいい」だけですからね。

この「趣味は個人の聖域であり、自分がやりたいならそれでいい」は絶対の前提としつつ、もっと楽しむために、あえて難しく考えてみよう、という記事です。ということで「タイピングに何の意味があるんだ…… 俺は何が楽しくてやってるんだ……」みたいに深くは考えないでくださいね。

 

Sense and Sensation

ところで、今までなんとなく「意味」「楽しさ」という 2 つの言葉を使い分けてきましたが、これらを「意味」→「頭で考える『タイピングに対する評価』」「楽しさ」→「心で感じる『タイピングに対する評価』」と一般化したいと思います。

「何だそりゃ?」と思うかもしれませんが、これらを意識的に分けて考えていくと、意外と自分の考えがこんがらがっていたことに気付くものです。ここら辺の考えがしっかり体系だっていないと、他の人とタイピングについて話す時、会話が食い違って、平行線を辿ることになったり、自分の主張が理解されなかったりします。

自分自身もそうで、タイピングの話をするとき、何かモヤモヤする、どこか整理されていない、何かが分かっていない、そういう感覚が常にありました。長年タイピングと関わり、色んなタイパー達の感性に触れながら少しずつ考えを深めていくことで、今ではかなり頭が整理されていると感じるので、それを共有してみたいと思います。

 

それでは、一体どういうことなのか、例え話で考えてみましょう。

例え話)"超"乱打タイパー

あなたは「"超"乱打タイパー」の存在を知っていますか? タイプウェルや打トレ(打鍵トレーナー)のようなミス数がどれだけあってもペナルティの無いタイピングソフトにおいて、とんでもないミス数ととんでもない速度を両立するタイパーのことです。

例えば、タイプウェル国語 R では 1 トライアルで 400 キーを打つことになりますが、僕の知っている超乱打タイパーは確か 5 回に 4 回くらいはミス数制限に引っかかる=100 ミス以上を叩き出すと言っていました*4。そうなると、もちろん打ち切ったトライアルも 80 ~ 99 ミス実に 4 キーあたり 1 回近くミスをしている計算です。

ありそうな感想

これに対して、平均ミス率 1~10% くらいのまあ一般的なタイパーから見て、ありそうな感想を適当にたくさん挙げてみます。

  • 「そんなミス多かったらどんだけ速くても意味無いじゃん」
  • 速さを競うソフト*5だし、確かにミス数なんてどうでもいいよな」
  • 「4 キーに 1 回ミスするって、そもそもタイピングと言えるのか? キーボードで実際に文章打つこと考えたら、4 回に 1 回ミスしてたらほぼ成り立たないし…… もはや何がなんだか分からない……」
  • 「記録上は速ければいいんだろうけど、私はミスが多い人はすごいとは思えないな」
  • なんでそんなミスしながら速く打てるの!? すげえ! 一体どんな打ち方してるんだろう?」
  • 「記録上は速いし、特異な技術ですごいと思うけど、俺が目指す方向性とは違うな。」
  • 「自分はミスするとイラッとしちゃうけどな。そんな打ち方で楽しいのかな?」
  • 「ミスを気にせず打つって気持ちよさそう自由っていいよな……」

Sense と Sensation に分けてみる

これ、こじつけみたい(というか実際こじつけ)で恥ずかしいんですけど、今回のテーマである「タイピングに対する評価*6」は、英単語の sense と sensation に分けて、それぞれの多義性(同じ言葉が色んな意味を持っていること)と照らし合わせてみると、良い具合に理解することができます。

原義的な意味と、派生的な意味

sense とは、シックスセンス(第六感)などと言われるように、原義的には感覚機能、つまり五感(目=視覚、耳=聴覚、鼻=嗅覚、舌=味覚、皮膚=触覚)そのもののことです。

sensation とは、sense(感覚) によって実際に捉えられた「熱い」「冷たい」「甘い」「苦い」といった「感じ」のことです。

ただ、今回は、原義的な意味よりも派生的な意味の方を使っていきます

sense の派生的な意味 … 頭で考えるタイピングの評価

これが、今回の記事で言う「意味」≒ 頭で考えるタイピングの評価 です。

  1. 意義、価値、合理性
  2. (辞書的な)意味、語義
  3. 常識、(全体の)意見、(多数の)意向
sensation の派生的な意味 … 心で感じるタイピングの評価

これが、今回の記事で言う「楽しさ」≒ 心で感じるタイピングの評価 です。

  1. (漠然とした)感じ、感覚、気持ち
  2. 大評判、大騒ぎ、センセーション

 

例え話に当てはめてみる

では、上で挙げたいくつかの語義を、今回の例え話に当てはめてみましょう。

  • 「そんなミス多かったらどんだけ速くても意味無いじゃん」

これは、sense の 1. 意義、価値、合理性 の話をしていると分かりますね。タイピングには何らかの意義があって、タイピングソフト自体や、それを使うタイパーのタイピングスタイルも、その意義に沿ったものであるべきだと考える立場からの発言です。この意見に対して補強もしくは反論するとすれば、「タイピングの意義」「意義があるとして、各タイパーはそれに沿うべきか」といった論点になるでしょう。

  • 速さを競うソフト*7だし、確かにミス数なんてどうでもいいよな」

これは分類しにくいですが、sense の 1. 意義、価値、合理性 と、2. (辞書的な)意味、語義 及び sensation 1. (漠然とした)感じ、感覚、気持ち に関わる発言と言えます。まず「タイピング」という大きな枠には意義を感じていません。また、「タイピング」という大きな枠の言葉に共通の語義を見出していません。その反面、「競う」ということそのものを重視しているように見えます。これは「競う」こと自体に意義を見出しているとも言えるし、競うこと自体を楽しんでいる(sensation 1. )とも捉えられそうです。

  • 「4 キーに 1 回ミスするって、そもそもタイピングと言えるのか? キーボードで実際に文章打つこと考えたら、4 回に 1 回ミスしてたらほぼ成り立たないし…… もはや何がなんだか分からない……」

これはタイピングの定義、つまり sense 2.(辞書的な)意味、語義 の話ですね。タイピングって何なのか? どれだけミスしても、途中の過程で目的のキーを押してさえいれば、それでタイピングと言えるのか? 結果として打ち出される文章は、めちゃくちゃなものになっているはずだけど…… そんな疑問です。これについては、現状のタイピング競技の成熟性から言って、個人的な信教レベルに留まる話です。統一的な「タイピングって何か」という理解は無いので、結局、個人が何をもってタイピングとするかの問題です。

  • 「記録上は速ければいいんだろうけど、私はミスが多い人はすごいとは思えないな」

少し感想の毛色が変わってきましたね。これは sense 2.(辞書的な)意味、語義 を客観視しつつ、sensation 1.(漠然とした)感じ、感覚、気持ち から評価する考え方です。つまり、競技の性質としては受け止めるが、個人の感覚としては「すごい!」「シビれる!」「あこがれるゥ!」とは思わないということですよね。これは個人の感じ方ですから、侵すことのできない聖域です。

  • なんでそんなミスしながら速く打てるの!? すげえ! 一体どんな打ち方してるんだろう?」

これも上と同様ですね。「なんで!?」という驚き(もしくは興味や好奇心)、「すごい!」という感覚、どちらも sensation 1.(漠然とした)感じ、感覚、気持ち です。これも聖域ですね。

  • 「記録上は速いし、特異な技術ですごいと思うけど、俺が目指す方向性とは違うな。」

これは 2 つ上の感想と似ていますが、あえて入れました。この人はまず「すごい」という気持ち(sensation 1.)は抱きつつ、目指す方向性は違うと考えています。これは、この人は 「自分にとってのタイピングのあるべき姿」を持っている、つまり自分にとっての sense 2. (辞書的な)意味、語義 を確立していて、それに沿って能力を高めることに嬉しさを感じる(sensation 1. )ということです。

先ほど「タイピングの定義は個人的な信教レベルに留まる話」と書きましたが、それは何も「個人的な信教レベルなので意味が無い」と言いたいわけではないです。むしろ、個人的な信教から個人的な「嬉しさ」「楽しさ」が生まれるという意味で、これも聖域だと考えています。ただ単に、個人にとっては聖域(最重要な事項)だが、他人にとっては無関係(何の価値も持たない)ということです。この両極端な性質を理解しておかないと、話が全く噛み合いません。

  • 「自分はミスするとイラッとしちゃうけどな。そんな打ち方で楽しいのかな?」

これも sensation 1. (漠然とした)感じ、感覚、気持ち の話ですね。しかし、ここでちょっと考えを深めて、この「イラッとする」という sensation 1. はどうして生まれたの? ということを考えてみましょう。

そもそも正しく打つことに意味がある(sense 1.)、正しいキーを打つことこそがタイピングの定義だ(sense 2.)、と考えている(もしくは無意識に感じている)から、ミスをすると「正しいキーを打てなかった=失敗した」と捉え、イラッとするわけですよね。

となると、実は sense 1. や sense 2. によって sensation 1. は影響を受けると分かります。これは実はとても重要なことです。感覚・感性といったものも、理性に引っ張られるということですね。

  • 「ミスを気にせず打つって気持ちよさそう自由っていいよな……」

これは 1 つ上と同じことを、逆の立場から見た感想です。上記のような sense 1. や sense 2. に関する固定観念*8を持っていた人が、それから解き放たれることで「気持ちいい」「快適」「自由」といったポジティブな sensation 1. を得られることもある、ということです。

ただし、必ずしも sense 1. や sense 2. を狭く捉える(自分の考えるタイピングのあるべき姿はこうだ!タイピングとはこういうものだ! という考えを強める)ことが悪いと言っているわけではありませんsense 1. や sense 2. に関して細かい規定を置き、忠実にそれに沿うことができれば、より大きなポジティブな sensation 1. を得られるからです。つまり、戒律の厳しい宗教に入ってしっかり戒律を守れば、快感が得られるというようなことですね。それ自体は個人の聖域なんですが、薬も過ぎれば毒になると言いますので、変に縛られて苦しまないようにしてほしいですし、ましてや他人に押し付けないようにしたいものです。まあ、まとめると、「個人的な sense 1. や sense 2. を持つことは劇物なので上手く使って下さいね」、ということです。

 

sense 3. と sensation 2. はどこいった?

ここまで、sense 3. と sensation 2. が一度も出てきませんでした。これらは少し毛色が違うものです。

ここまでは全て個人の感想・考えだったのですが、ここからは社会の感想・考えです。ちなみに、社会の感想だから重要だというつもりは一切無い*9です。単純に、話を分けて考えましょうということです。

sense 3. 常識、(全体の)意見、(多数の)意向

これは「タイピングって何の意味があるのか(sense 1.)」「タイピングって何なのか(sense 2.)」の社会的な共通理解*10のことです。「社会」のような大げさで複雑すぎるものだけでなく、もう少し小さな「複数の人間の集団」について考えてもらってもいいです。例えば「毎パソ参加者という特定の集団が共有する競技の意義(sense 1.)と競技ルール(sense 2.)の共通理解」などと考えれば分かりやすいと思います。

これ、結構混同しちゃってる人がいるように思います。先ほどの例え話で言えば、「そんなミス多かったら意味無いじゃん」というのを、個人的に思うだけでなく、一般常識のように口に出してしまう人ですね。そのタイピング観が個人的なもの(sense 1. や sense 2. )なのか、共通理解(sense 3.)なのか、もしくはどこまでが共通理解でどこからが個人的なのか、よく考えないと、誰もまともに話を聞いてくれません。

逆に、共通理解が存在する場なのに、個人的なものにこだわるのもおかしい話です。毎パソの話をしている時に、例えば「実際の文章作成ではどうせ推敲や校正といった手順が入るのだから、一次的な入力作業における 1 ミスの意味を大きく評価しすぎるのは違うのではないか」といった問題提起をしたいのであれば、その考え方が現時点の共通理解(sense 3.)とは反した個人的意見であることに注意して丁寧に論を展開しないと、強い反発を受けてしまうでしょう。sense 3. まで昇華されて固定した考え方(明文化もしくは暗黙的に共有された競技の意義やルール)は非常に強力なものであり、そこに異を唱えることは、単なる「個人の感想のぶつかり合い」とは少し意味合いが異なります。

sensation 2. 大評判、大騒ぎ、センセーション

sense 3. が「社会にとっての sense 1. と sense 2. 」であったのと同様、sensation 2. 大評判、大騒ぎ、センセーション とは、「社会にとっての sensation 1. (漠然とした)感じ、感覚、気持ち」のことです。

先ほどの例え話で言えば、超乱打タイパーの存在が可視化された時(太古の昔です)、結構タイパー内で話題になりました。「何だそりゃ」「すげえ」「訳分からん」「ああだ」「こうだ」「どうだ」「そうだ」と、結構タイパー達に波紋を投げかけて、タイパーとしてはその驚きや混乱ぶりを楽しんだり、特異な技術に感嘆したりしなかったり、まあ分かりやすく言えば、楽しんだわけですね。

他にも、例えば RTC が行われ、miri さんの対戦動画やインタビュー記事などがインターネットに公開されたことで、タイパー以外も「タイピングって極めるとこんなスゴいのか!」「俺もわりと速いし出られるんじゃね!?」「私も miri さんみたいに打てたら楽しそう!」などと盛り上がる、つまり楽しめるわけです。これが sensation 2. 大評判、大騒ぎ、センセーション です。打っているタイパー個人ではなく、それに関わる複数の人々が何らかの気持ちを抱くことです。

この sensation 2. に意義や価値はあるか?

これは難しいところですよね。「合理的価値」みたいなものは直接的には*11無いとは思うのですが、そもそも社会(複数の人々)が「楽しい」と思えれば、それはその社会に利益をもたらしているとも言えます。「踊るアホウに見るアホウ、同じアホなら踊らにゃ損」という有名な言葉がありますが、これは「楽しんだもん勝ち」「楽しむこと自体がなんだ」という考え方が、少なくとも日本人の感覚としてある程度受け入れられていることの証明でしょう。

つまり、タイピングの「意味」「意義」という言葉が使われるとき、何故か sense 1. の「合理的価値」的な文脈で語られがちですが、この「みんなが楽しいと思うこと」も本来は価値であるはずなのです。

この考え方に立つと、「ミスが多ければ意味が無い(価値が無い)」といった単純な発言が、いかに一面的な表現か分かると思います。もちろん、偏っているから悪い、とは言っていません。単に論点整理がショボくて誰も耳を傾けないレベル、というだけです。

そんな言い方じゃなくて、ちゃんと論点を整理して、「ミスが多ければ、タイピングの本来の姿(sense 2.)であるはずの文章入力という観点から外れてしまう。それでは個人的にも社会的にも価値(sense 1.)が無い。だからミスが多いタイピングは低い評価にするべきだ。」とか、「タイピングの本来の姿(sense 2.)は文章入力だから、人々はそれに影響されて、速く正確に文章を入力することに『スゴい』『美しい』という気持ち(sensation 1. や 2.)を抱くのだ。競技の魅力(sensation 2. をもたらす力)を増すために、タイピング競技は正確性を高く評価すべきだ」とか言われると、打鍵速度信者も「ぐぬぬ、手強いぞ……」とか「この人とは(最終的に合意に至るかは別として)少なくとも議論する価値はありそうだな」などと考えるわけです。

 

まとめ

ここまでの話をまとめます。

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タイピングに対する「頭」と「心」による評価
  • タイピングの「意味」とか「定義」とか「楽しい」とか「スゴい」という評価や感想は、まず大きく上記のように分けられる
  • これらを分けて考えないと、話が平行線になる
  • これらは全て独立のものではなくて、色々と相互作用している
  • Sense 3. まで昇華されたタイピングの「意義」や「定義(競技のルール)」は強力かつ重要だが、それ故に、個人的な考えを Sense 3. と同一視する人はヤバい
  • Sensation 1. はタイピングに対する心の動き(個人の感じ方)であり、「聖域」だが、それ故に社会的な価値は持たない
  • とはいえ、Sensation 2. になると社会的な価値を持つと言えなくもない。多くの人が楽しめたら最高

 

いや、長々書いてきておいて、こう締めくくるのもどうかとは思うんですけど、「だから何?」感がすごい。いや~~本当、僕としては本心からめちゃくちゃ重要なことだと思ってて、頭の中ではこういうこと(価値観や感性を細かく分析し、見当違いなことに適用して自分の思考をミスリードしたり他人に押し付けたりしないこと)をめちゃくちゃ大事にしてるんですけど、文章にすると、まあ「だから何?」って感じが強いです。

しかもフレームワークの導入しかできてないんで、「じゃあ sense 1. タイピングの意義って何がある(ありえる)んだ?」とか、「sensation 1. タイピングの『楽しさ』って結局どういうものがあって、それは sense 1. や 2. と具体的にどういう影響を及ぼし合うの?」とか、「sense 2. タイピングの定義やあるべき姿 ってある(ありえる)の? これから作るとしたらどう定めるべき? 他の競技はどうやってそれを作ってきたの?」とか、本質的に重要な「論点」たちのことは全然話せていません。今回は本当に整理しただけです。

 

いつか、少しずつこの辺りのことを詰めていきたいものです。応援よろしくお願いします。

*1:つまり「趣味ダッサwww 陰キャ乙wwwww」をオブラートに包んだ表現として言われる場合のこと。いや、そんなことあるのか知らないですけど。まあ、もしそんな風に言われると、思春期のタイパーは落ち込むかもしれません。趣味は個人の聖域なので、他人からどう思われようが気にしないのが人生の秘訣です。

*2:要出典

*3:ここでは、趣味としてタイピングを楽しむ人のこと。職業タイピストはちょっと話が変わります。

*4:だいぶ昔のことなんで、細かい数字はめっちゃ曖昧です。ごめんなさい。実際はだいぶ違うかも

*5:正確には、「タイプウェルの公式ランキングサイト GANGAS は速さを競うランキング(だった)」という言い方が正しい

*6:前述のとおり、タイピングに対して頭で考える評価・心で感じる評価のこと。つまり意味があると思うことや楽しいと思うことなどです。

*7:正確には、「タイプウェルの公式ランキングサイト GANGAS は速さを競うランキング(だった)」という言い方が正しい

*8:固定観念」という言葉自体には別にネガティブな意味を込めてないです。前述のように、個人の固定観念は聖域とも言えるので。ただ、後述しますが、その辺が曖昧なまま、見えない縄に縛られたように苦しんでる人がたまにいるので……

*9:というか、なんなら「個人の聖域として趣味をやってるんで、本来は社会の感想なんてどうでもいい、クソ食らえ」という考え方です。とは言え、それだと発展性が無いですし、相互理解を投げ捨てる感じになっていきますから、一応大人として、社会(というか自分以外の人間)のことも考えましょうね、というだけです。

*10:ほんとの sense の意味は少し違います。「(一般的な)常識」という意味を表す言葉は、本当は common sense ですね。sense の「常識」という訳は本来「(個人の)常識的判断力(一般的な常識に照らして、個人が判断をする力)」といった意味合いです。とはいえ、2 つ目、3 つ目のような「全体の意見」的な用法もあるようなので、ここでは都合上、ちょっと曲解させてもらうことにしました。許してください。

*11:極まって人気が上がれば広告的価値などの色々な間接的価値が生まれてくる、という意味

どっちが「スゴい」かハッキリさせようぜ! ~異種競技戦の難しさ~

この記事は、たのん さん主催 タイパー Advent Calendar 2021 に登録しています。

昨日(12/12)の記事は、dqmaniac さんの 多言語部門におけるロシア語タイピングの強化 です。

明日の記事は、たのん さんの (予定)タイピング温故知新 ~古きタイピングゲームを温め新しきタイピングゲームを知る~ です。

 

まえがき

 

唐突ですけど、「強さ議論スレ」って知ってます?

 

これ、本当、ありとあらゆるジャンルに存在するんですよ。……いや、「ワンピース強さ議論スレ」とか「ポケモン強さ議論スレ」は分かるんです。だって、ワンピースもポケモンも、戦い(バトル)が物語(ゲーム)のメインですからね。

そうは言っても、サザエさん強さ議論スレ」とか、ジブリキャラ強さ議論スレ」辺りになってくると、ちょっと、控えめに言っても「狂ってる……」って思いませんか? 僕は思います。流石に意味分かりませんって。

 

ただ、理屈抜きで「誰が強いのか?」「誰がスゴいのか?」をハッキリさせたいというのは、もしかしたら、抗いがたい人間の本能なのかもしれない…… なんてことを思ったりもします。

 

導入:どっちが「スゴい」?

さて、タイピングの話です。

例えば、「英語タイピングサイトで 1 分に 650 文字打ちました!」って人と、「日本語ローマ字入力タイピングサイトで 1 分に 700 キー(ひらがなの数でなくローマ字の数)打ちました!」って人、どっちが「スゴい」と思います?

 

うーん、数字が 700 > 650 と大きいので、普通に考えたらローマ字 700 キーですかね?

でも、英語って大文字とか '(アポストロフィ)とか頻発するんで、シフトキーを押さないといけないから、ローマ字入力より大変(?)なので、それで 650 なら ローマ字 700 より「スゴい」かも??

 

まあ、ここで理性的な大人なら、「いや、そもそも文章の打ちやすさ自体も違うから、比べること自体無理な話じゃない?」って思っちゃうかもしれません。実際はその通りで、日本語タイピングと英語タイピングは違う競技ですから、本来、厳密な意味で比べることはできません

 

……とは言ってもですよ。タイピング競技者もしくはタイピング競技ファンとしては、「いやいや、とはいえやっぱりどっちが『スゴい』のか知りたいじゃん!」と思うこともあるでしょう。

いわば、異種格闘技戦ですよね。「人間の大きさになったカマキリと、最強の人間、どっちがツエーんだよ?」「孫悟空とルフィ、どっちがツエーんだよ?」ってな話です。まあ、興味深いというか面白いというか、実現すれば夢のある話ではあるわけです。

 

疑問:それって比較できるのか?

では、どっちが「スゴい」か、どうやって決めればいいんでしょうか?

異種格闘技戦なら、戦わせればいいので単純明快な話です。(もちろん、人間大のカマキリと戦いたいなら、脳内で戦えばいいのでやはり単純明快な話ですね。)

ですが、英語タイピングと日本語タイピングを戦わせることはできません。仕方ないので、いくつかの案を考えていきましょう。

 

案1 : いや、そのまま数字を比べればいいんじゃないの?

……なるほど、単純明快でいいですね。ただ、まあ、これだと冒頭の疑問に全く答えてないわけですから、「俺のがシフト入力もしてるからスゲーんだし!」「いや俺のが数字が大きいんだからツエーんだし!」「いやいや俺は……」との水掛け論になりますよね。

他の案を検討していきましょう。

 

案2 : 上位何 % なのかで決めよう!

お? 少しそれらしい案が出てきました。

例えば、「俺は英語タイピングサイトで 310 位 / 10,000 人(=上位 3.1% )なんだぜ!」「私は日本語タイピングサイトで 37 位 / 1,000 人(=上位 3.7% )なのよ!」となればどうでしょう?

うーん…… まあ、上位 3.1% の方が「スゴい」と言うこともできるかもしれません悪いアイディアではないと思います。

 

とは言え、ほとんどの方は「いや、参加者のレベルが分からないでしょ」と考えるでしょう。これらのサイトが、例えばアメリカ全土、日本全国の全員同じ条件の元で参加しているサイトだったら、かなり説得力のある比較できるかもしれませんが、参加者数が 10,000 人、1,000 人と少ないですし、参加者の内訳も分かりません。

例えば、日本語タイピングサイトの参加者は 1,000 人ですが、そのうち 500 人くらいが、ガチガチにタイピングをやり込んでいるオタク達だったらどうでしょう? その中で 37 位というのは相当速いことになります。それに対して、実はこの英語タイピングサイトは子供向けの練習サイトで、10,000 人のうち 9,900 人は 5~10 歳くらいであり、タイピングに本気になっちゃってるいわゆる「大人のお兄さんお姉さん」は残りの 100 人だけだったとすれば? その中で 310 位というと、あまり大したことがないか、将来有望なスーパー小学生が 250 人くらいいるかのどちらかですよね。

 

これは極端な例ですが、やはり、両者の「スゴさ」を比べるという目的からすれば、良いアイディアとは言い切れなさそうです。

ちなみに、レーティングシステムなどもこのカテゴリに入ると言えるでしょう。

(とはいえ、今の環境内での位置を明確にできるという意味で、個人が上達のモチベーションとする分にはすごく良いものですので、これらの「相対位置を考える」という観点自体は有用だと思います。単純に、「スゴさ」を比べていることにはならない、ということです。)

(あとは、タイピングをよく知らない人に、大まかに自分の位置を説明するのにもいいでしょう。タイピングを知らない人に「私は日本語タイピングで 680 KPM で 英語タイピングで 700 CPM なんです!」とか言っても仕方ないですからね。「日本語タイピングサイトで上位 3% で、英語タイピングサイトでは上位 1% に位置してまして、かなり英語タイピングに力入れてるんですよ!」と言えば、「なんか珍しいことをスゴく頑張ってて、わりと上位にいるんだな! 英語タイピングがスゴいみたいだけど、実際どんなことやってるんだろう?」くらいには思ってくれる…… かもしれません。)

 

案3 : 英語と日本語の打ちやすさを考慮して統一的なスコアを計算する関数(数式)を作ろう!

むむ……! いきなり、案を出す人の IQ が上がったように見えますね。

確かに、これが実現できれば英語タイパーと日本語タイパーの「スゴさ」を比較できそうです。良いかもしれません。ちょっと考えを進めてみましょう。

関数を作るためには、英語タイピングと日本語タイピングの「違い」って何なの? ということを考えることが必要ですよね。その「違い」が、両者の難しさを変えているわけですからね。

 

とはいえ、それだけでいいでしょうか? 

英語タイパーと日本語タイパー自体の違い、もっと言えばタイパーごとの違いも無視できないですよね。というのも、例えばある点で英語タイピングが難しいと言っても、その「難しい点」を攻略するような打ち方をすれば解決するかもしれないのです。「シフトキーの入力が難しい」「単語毎のスペースキー入力が難しい」と言っても、物心ついた時からシフトキーやスペースキーを押してるんですから、英語圏タイパーはうまい打ち方を習得してるかもしれません。逆に、英語タイパーが日本語を打ったら「スペースキーが無いからリズムが取りづらい、日本語タイピングは難しい!」なんて言うのかもしれません。

つまり、英語タイピングと日本語タイピングに「違い」があったとしても、「その『違い』がタイピング速度にどのような影響を与えるか」については、タイパーの特性によって変わってくるということです。

(もちろん、反論として「いや、でも『タイパーの特性に関わらない打ちやすさの違い』は厳然としてあるはずだ!」という主張はあるでしょう。実際、それは正しいだろうとは思います。そして、それを把握するために、マッドサイエンティストならこう言うかもしれません。「たくさんの生まれたばかりの赤子を研究所に閉じ込めて、日本語と英語を両方同じ練度で覚えさせた上で、同じ時間だけ日本語タイピングと英語タイピングをやらせて統計を取ったら、純粋な『日本語と英語の打ちやすさの違い』が計測できるはず!」と。しかし、個人的にはこんな非人道的な実験を行ってすらも、計測できないと思ってます。例えば、その赤子が自然に身に着けた運指が、偶然「英語タイピングに不向きなもの」であったら?  まあ、赤子を 1,000 人くらい用意すれば、有意差を見出だせるのかもしれませんが…… そこまでするほどの意味はなさそうに思います。)

 

関数を考えてみる(案 3 の検討)

ということで、「打ちやすさに影響しそうな要素」を、言語側の要素(英語タイピングと日本語タイピングの難しさの違いに直接影響を及ぼす要素)と、タイパー側の要素(日本語と英語の「違い」が速度に影響を及ぼす度合いに違いをもたらすようなタイパー毎の特性)に分けて、思いつく限り挙げていきましょう。

ここで、「ほぼ明らかにマイナス要素」というものには赤色、「ほぼ明らかにプラス要素」というものには青色、「+ー判断つきにくい要素」は紫色をつけていきます。

打ちやすさに影響しそうな要素(言語側 ※英語から見て)
  • シフトキー入力の頻度 : 大文字, ', ", & など
  • スペースキーの頻発 : 例えば It's a true world. という短い文に 3 つものスペースキー
  • 子音→母音のパターンに限らないので打鍵パターンが豊富 :  th, tr, cl... 極端な例では rhythm とか  
  • 促音(っ)による子音の同鍵連打は無い : 例えば っさ ssa, った tta など
  • 母音の同鍵連打が割とある :  ee, oo はかなり多い上に打ちにくい
  • 言語の視認性が違う(かも): 漢字かな混じりはパッと見で読みやすいけど英語は読みにくい(かも)。でも、アルファベットは画数が少ないし情報量がミッチリ詰まってないので読みやすいという人もいる(かも)
  • 文字そのものが「読めない」ことはない: 例えば課題文に「鏖」と書いてあったら零と末崎の弟分 板倉くらいしか読めない。それに対して「 d と r と m と f と s のアルファベットが読めない」という人は多分いない
  • 言語から打鍵列への変換処理が無い:「あいうえお -> aiueo」のような脳内変換が不要。また「か -> ka で打つか? ca で打つか?」 とか「あいらゔゅー -> vyu か? vuxyu か? vulyu か?」とかいうことはない。そもそも「『ゔ』ってどうやって出すの!?」ということがない
  • 打ち方の選択肢が無い:上記の裏返しで、「ぽかぽか -> よし、これは pocapoca と打った方が楽だな!」とか「赤く染まった -> この『赤く』は akaku より acaku と打った方が速いな!」といった柔軟な打つキーの選択はできない
  • そもそも言語が違うので打鍵列(どんな順番でキーを押すことになるか)の傾向が根本的に全然違う : p, q が多いのはしんどいと思うけど、za とか wa があんま無いのはありがたいとか、言い出すとキリが無い
打ちやすさに影響しそうな要素(タイパー側 ※英語から見て)

いや〜、言語側だけ見てもかなり複雑ですね。ここに挙げていない要素もいくらでもあると思いますし。とはいえ、こういったことを全て挙げていって、膨大な統計データを得れば、現代の機械学習とかそういう技術を活用すれば関数ができるような気がしないでもありません

しかし、ここから更に、上記の「違い」を複雑化させる「タイパー毎の特性」も考えていかなければなりません。思いつく限り、挙げていきましょう。

  • タイパー毎の練度 : 練度って何やねんという話もありますけど、まあ細かいことはおいといて。例えば「初心者タイパーにとっては英語タイピングのが簡単で、熟練タイパーにとっては英語タイピングのが難しい」といったことがあり得ます。また、「打鍵列と練度の組み合わせ」によっても打ちやすさは変動します。例えば、いわゆるアルペジオ打鍵タイパーにとっては物凄く速く打てる打鍵列ですが、初心者にとっては別に他の打鍵列と特に変わらないでしょう。この辺りのことを踏まえると、統計や機械学習によって関数を求めるにしても、サンプルとなる打者(?)の習熟度を揃える必要がありそうです。
  • 英語タイピングの開始時期:「日本語タイピングに慣れたあとで英語タイピングを始めた人」と「英語タイピングから始めた人」で難しさは同じでしょうか? 同じかもしれないですし、違うかもしれません。自分にはさっぱり分からないですが、まあ本気で評価関数を導こうとするなら、考慮する必要はあるでしょう。
  • どのような運指や最適化をしているか:英語タイピングに向いた運指や、英語タピングを強く意識した最適化をするかしないかで、当然難しさは変わってきます。(その最適化の必要性自体を「難しさ」と判断すべきか否かという問題もありますが、とりあえず置いておきます)
  • 母語は何か(打とうとする言語の運用能力はどの程度か): つまり「日本人にとって英語タイピングは難しい」というのと「英語タイピング自体が難しい」というのは別の話です。
打ちやすさに影響しそうな要素(ゲーム・競技側)

最後に、念の為注記しておきます。

上記に挙げたような要素は、ゲーム・競技毎に異なってくるものです。

例えばシフト入力がどうこうと書きましたが、当然、「シフト入力なしの英語タイピングサイト」なんてものもあるわけです。スペースキー入力についても、「スペースキー入力を必要とする日本語タイピングソフト」もありますe-typing などのメジャーサイトでも「日本語ではなぜか句読点(。や、)を入力しなくていいのに、英語では , や . を入力させられる」ことも多いですよね。

つまり、「日本語だからこう」「英語だからこう」という決めつけすらもできないということです。本気で「それなりの信頼性を持つ関数を作りたい」というのなら、そういった影響も無視はできないでしょう。

 

で、関数は作れるのか?

……ここまで読んで、どう思いましたか? 正直、僕は作れないと思います。いや、厳密には作れるとは思いますが、「競技タイパーが意味を感じられるような関数は作れない」と思います。

例えば、「標準運指(最適化なし、ホームポジション固定)に限って」「初心者〜中級者など練度を限定して」「一定の条件を満たす競技ルールに絞って」といった仮定をたくさん置けば、統計的に導き出すことは可能かもしれませんが、競技タイピングレベルの高速域でそれが意味を持つかどうかというと、正直言って、ほとんど意味が無いわけです。

 

秒間 5 打のタイピングと秒間 15 打のタイピングって全然世界が違いますし、秒間 15 打といった世界になってくると、言語どうこう以前に、タイピングスタイル(運指とか最適化)とか個人の能力の影響が大きすぎると思います。

 

あ、でも

先ほど「全く意味が無い」と書きましたが、それは今回の記事の趣旨である「異種競技間で『スゴさ』を比較する」という観点からは意味が無い、という意味です。

上で書いた通り、「打ち方や競技ルールを仮定した時の、ある課題文の打ちやすさ」を計算する関数は作れると思っていますし、それ自体は色々と有益に使えるものだと思います。例えば、毎トライアルで出題ワードの平均難易度を平準化するとか、同じユーザの違うワードセット間での記録を標準化した上で成長度のグラフを作るとか、色々と使えると思います。

くどいようですが、「異なる競技」「異なるスタイル」に渡る比較はこういった手段では難しい、と言っているだけです。

 

答え:結局、「スゴさ」はどうやって比べるの?

ということで、日本語タイピングと英語タイピングの「スゴさ」を比べるための方法を色々考えてきましたが、僕の結論としては、

こんなもん比べられね〜〜〜〜〜!!

というものです。

 

いや、だって無理ですもん。僕だって、Sean Wrona のスゴさを 100 として、僕の タイプウェル国語R基本常用後 20.713 秒のスゴさは 70 なのか 60 なのか 50 なのか、意外と 85 くらいあったりするのか、知りたいですよ。でも分かんないですよこれは。現状、どんなスゴい学者やデータサイエンティストでも、ちゃんとは計算できないと思います。

 

妥協:例えばシフトキーだけに絞ったら?

異種競技タイパーの「スゴさ」を総合的に比較するのはどうやら難しい…… ということが分かってきました。

では、せめて領域を限りなく狭く絞って、「少しでも速度の指標を近付ける」もしくは「少しでも違いを吸収する」というようなアプローチはどうでしょうか?

それも、できれば上記で色々と挙げた要素のうち、計測することが難しそうな要素は無視して、厳密に計算できる要素に絞るのはどうでしょう?

 

例えば、英語の 650 CPM(文字/分)と日本語の 700 KPM(キー≒ローマ字の数/分)があった時、大文字や ' や " がどれだけあったか(余計なキー入力がどれだけ発生したか)を数えるなどすれば、「その 650 CPM は 690 KPM に当たる!」というような計算はできるでしょう。(この辺り、詳しくは 英語タイピングにおける文字数とキー数の比率 - テルのタイピング記 参照) 

 

こういった努力は「指標を統一して分かりやすくする」という意味はあると思います。英語の 690 KPM と日本語の 700 KPM のどちらが「スゴい」かは別として、少なくとも「こっちの人は 1 分間に 690 キー打って、こっちの人は 700 キー打ったんだ」ということは分かります。

そこに意味を見出すか見出さないか、見出すべきか見出すべきでないかは、個々人の考えですが、それはそれとして、「事実として何キー打ったのか」が分かることには価値があると思います。

 

ただし、このように計算を行ったところで、シフトキーについて考え尽くしたとは言えません。ちょっと、下の質問に答えてみてください。

質問:「右シフトで大文字 A を入力する(つまりシフトキー+Aキー)」と「pa と2文字の入力をする」の、どちらが大変(時間がかかる)でしょう?

どうでしょう? 結構、パッと答えるのは難しいんじゃないでしょうか?

この質問に対しては色々な回答が予想されますが、僕が考える答えは「一般的には前者(大文字A)のが大変だが、厳密に言えば場合による」です。

 

まず、「一般的には大文字 A のが大変」というのは、シフトキー入力には 1 文字分以上の負担を強いられることが理由です。「Shift -> A」と 2 キー入力しているだけのようですが、実際は「Shift -> (Shift押しっぱなしで) A -> 次のキーまでにShiftを離す」というように、p -> a といった単純な 2 キー入力に対して、「シフトを押す/離すタイミングの管理」という追加の仕事を要求されています。単純に仕事が増えているわけですから、これはどう考えても 1 キー分の打鍵よりは負担が大きいです。

 

ここまでは気付く方も多かったと思いますが、「厳密に言えば場合による」というのは気付きましたか? こっちに気付いた方は、英語タイピングをかなりやり込んでいる方ですね。これは「ゲームの種類によっては、文頭のシフトは先に押しておくことができる」というようなことです。例えば typeracer などでは先に課題文が表示されていますから、あらかじめシフトキーを押下したまま待機しておけばいいので、1 キー分稼ぐことができます。他にも考えていけば色々あるでしょう。

とはいえ、"The ..." といった文章なら、やはり「h の前にシフトを離さなければいけない」ことの負担が重いので、1 キー分かそれ以上の負担があるように思います。このテクニックが有効になるのは "A ..." から始まる文章ですね。スペースキーを押している間にシフトを離せばいいわけですから、このパターンであればシフトの負担はほぼゼロに近い感覚です。

 

結論:定量的評価の難しさ

どうやら、やっぱりシフトキーの負担すらも、ちゃんと定量的に評価するのはなかなか難しいようです。いや、このくらいなら出来なくはないと思うんですが、とりあえず「押す回数の分だけ負担が増える」という単純なものではないということですね。

 

テルさんは何が言いたかったの?

ずいぶん話が長くなってしまいました。

ここまで読んでいただいて、もしかしたら「前書きでは、漫画を例えに出してまで『異種格闘技戦には夢がある』ようなことを言っておいて、結局「比べられない」ってどういうつもりだよ?」 と思ったかもしれません。しかし、ここには僕の強い思いがあります。

それは、「無理に比べようとしないで、違いを知ってリスペクトして、それぞれの味わいを楽しもうぜ!」ということです。僕は、これが凄く大事なことだと思っています。

 

比べようとしないことで、見えてくるもの

前書きの例え話の「孫悟空とルフィどっちが強い?」で考えてみましょう(読んだことない方は雰囲気を感じてください。)

……いや、これ正直どう考えても孫悟空の圧勝ですよね。そもそも身体能力の桁が違うんですよ。かめはめ波で星すら簡単に壊せて、瞬間移動もできる。「ルフィはゴム人間だから物理攻撃は通じない」? いいえ、気円斬があるのでルフィにも攻撃は通じます。

 

とは言っても、ですよ? ここで「ルフィざっこwwwwwww 孫悟空の下位互換じゃんwwwwwww ワンピース読んでるやつ全員間抜けかよwwwwwww」となりますか? って話ですよね。

ルフィファンの孫悟空アンチ(?)だったら、きっと「孫悟空なんて社会性皆無で確固たる夢も未来のビジョンも無く生きてて、息子の悟飯ほったらかしで修行ばっかしてピッコロに悟飯を取られちゃった父親失格のクズじゃん!! ルフィは仲間と一緒に海賊王っていう夢を追いかけてるし、ナミを助けた時みたいに他人の心の機微も分かるし、強すぎないからこそ仲間のために強くなろうとする姿勢が尊いんだもん!!」って言いますよ。(※別に僕は孫悟空アンチじゃありませんよ。むしろ好きです。念の為)

 

変な例えだったかもしれませんが、なんとなく伝わったでしょうか。「強さ」という比べられるものだけ見ようとしたことで、「その人(今回はルフィ)が持つスゴさ」が見えづらくなったんです。

一般化して言えば、一つの尺度に落とし込もうとすると、見えなくなるものが多すぎるってことですね。

 

タイピングでも同じです。「どっちがスゴいのか」を比べようとするのもいいですけど、「それぞれのスゴいところ」をまずしっかりと見るのが、観戦者としても、競技者としても、「タイピング」という「細かく枝分かれした異種競技の集合」を楽しむ秘訣です。

 

英語タイピングが速い人は、シフトキーや日本語とは違う慣れない打鍵列、スペース入力に適応しててスゴいです。

カナ入力が速い人は、広いキーボードを使いこなしててスゴいですし、打鍵列のパターンが多すぎるのに適応しててスゴいです。

毎パソ和文の固定文入力が強い人は、変換をしっかり把握して計画を立てたり、練習した成果を本番でキッチリ出すメンタルやミスしない注意力がスゴいです。

逆に毎パソ和文で初見入力が強ければ、多様な変換法からベターなやり方を導く思考の瞬発力や、文章の認識・変換の組立・打った文章にミスが無いかのチェックなどを並行して行う処理能力がスゴいです。

ミスがめちゃくちゃ多いけどとんでもない速度で打てる人は、ミスを許容した独自の打ち方や先読み能力、他のキーを巻き込みながらも確実に正しいキーを打ち抜くバランス感覚がスゴいです。

速度は少し落ちるけどとんでもなく正確性が高い人は、集中力や動作の再現性、打鍵中に必ず訪れるはずの「少し崩れた瞬間」にも確実にリカバーする緻密さがスゴいです。

 

ここで、こういった「それぞれのスゴいところ」を見ることの大事さに比べたら、「X 文字打ったとはいえ固定文(だから初見で Y 文字打った○○さんのがスゴい)じゃん」とか「ノーミスだから得点高くなって 1 位になってるけど、2 位の△△さんのがずっと速いじゃん」とか「確かに速いかもしんないけどミス 30 とか意味ないじゃん」とか、マジで下らないですよ。

あとは、他人に対してこんな失礼なこと考えない人でも、自分のことは何故か卑下しちゃったりとかね。タイプウェル英単語で X 位まで来たけど、人口が少ないし、国語 R で言えば大した価値ないかな……」とか、「寿司打普通はかなり自信あるけど、e-typing は○○pt しか出ないから実力はこの程度なんだよな……」とか。客観視・相対評価をしようとするのも大事かもしれないけど、それぞれの記録と、その記録を実現した能力にまず本質的な価値があるんだって。「見えないものを見ようとして、見えてるものを見落とすな」って、BUMP OF CHICKEN も言ってます

 

 

ということで、「スゴさ」についての僕の結論です。

 

同種競技の結果は比べられるから、それが絶対の価値基準。つまり、結果(タイプウェルならタイム、e-typing ならポイント、WT の対戦モードなら勝敗、RTC なら順位)が上の奴が一番スゴい。それはそれとして、『それぞれのスゴさ』もある!

 

・異種競技の結果は比べられないから、そんなことよりも、違うからこそ際立つ『それぞれのスゴさ』を楽しもうぜ!

 

以上です。最終的になんか積もり積もった鬱憤(?)により変なテンションになってしまいましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

英語タイピングにおける文字数とキー数の比率

「英語タイピングにおける文字数と打つべきキー数の比率」を計算してみました。より具体的には、一般的なアメリカ英語の文章を 一般的な JIS 配列 もしくは US 配列でタイピングする場合の、平均的な キー数 / 文字数 の比率 です。

 

 

Q. その、「比率」? それって何?

タイピング速度の指標である CPM と KPM に関わる話です。(用語そのものについて詳しくは、様々な単位について(1) を参照して下さい。)

 

例えば 以下の 52 文字の例文を 1 分で打ったとします。

 - Covered with fur, or with something resembling fur.  

この場合「タイピング速度」は

 - 52 CPM ( characters per minute 文字数 / 分 ) と計算されます。

しかし、この文章には「シフト入力を要する文字」が 1 つ(文頭の C )が含まれていますから、「タイピング速度」に関する違う指標を使って、

 - 53 KPM ( keys per minute 打ったキー数 / 分 ) と計算することもできます。

 

このように、CPM と KPM は似ていますが、実際には異なるものです。

今回の場合のように文章が決まっていれば、具体的に CPM と KPM を計算することができますが、それだけでは困ることもあります。

英語タイピング練習サイトなどでは今までの平均速度として CPM が提示されますが、「これって大体何 KPM なのかな?」という疑問に答えるには、「一般的に(平均的に)、英文 1 文字は何キーなのか?」ということを知る必要があります。

 

注意点

この換算は、あくまで「一般的な換算」であって、厳密な換算ではありません。こんな換算を使わずに済むのが理想ですし、使う場合は、誤解を招かないよう気を付けて使うことが望ましいです。

 

また、「換算したから何?」という問題があります。

CPM を KPM に換算したことで、日本語タイピングで使われる KPM と指標の名前としては同じものになりました。では、この KPM を元に、英語タイピングと日本語タイピングの実力比較ができるでしょうか? つまり、「英語を X CPM で打ったので、KPM に換算すれば Y KPM だ! 自分は日本語だともう少し速い Y + 50 KPM で打てるから、英語タイピングはやっぱり難しい!」というような比較ができるでしょうか?

結論だけ言えば、こういった比較には疑問符がつきます

 

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なぜ疑問符がつくのか? ということに答えるためには、このテーマをある程度深く掘っていく必要があります。

このテーマについて、12月13日 公開予定の タイピングアドベントカレンダー2021 記事「異種競技の「スゴさ」を比べる難しさ 〜日本語・英語タイピングの違いから〜」で語りますので、ぜひご覧ください。 

adventar.org

 

比率を計算するための手法

元データ

比率を調べるのに使ったデータは、ここ(↓)のサイトの

corpus.byu.edu

 

Full-text data from English-Corpora.org: billions of words of downloadable data

 

ここ(↑)にあった、

The Corpus of Contemporary American English (COCA) 

というコーパス(生きた英語の例文データベース)です。

 

ちゃんとしたものは有料だったので、今回は無料サンプルを使いました。無料サンプルとはいえ、8.9mw と書いてありますから、890万単語も含まれるデータベース。まあ、サンプル数の大きさは十分でしょう。

 

文章のジャンルに偏りがあるんじゃない? と心配する方もいるかもしれませんが、下の方で示す通り、色んなジャンルからバランス良くサンプリングされているので、それなりには安心できると思います。

 

カウント方法

ちゃんと正しくカウントできてるの? とご心配の方もいると思いますので、カウント方法を一応記載しておきます。C++ で数えました。

分かる人は分かると思いますがかなり雑です、許して

int main(){
  set<char> onekeyset;
  string onekey = "zxcvbnm,./asdfghjkl;:]qwertyuiop@[1234567890-^";
  for (char c : onekey) onekeyset.insert(c);

  long long keys = 0;
  long long characters = 0;

  char c;
  int phase = 0; // 0:ID, 1:word, 2:lemma, 3:PoS
  while ( cin.get(c) ){
    if (c == EOF) return (0);
    if (c == '\t') phase++;
    else if (c == '\n') phase = 0;
    else if (phase == 1){
      if (onekeyset.find(c) != onekeyset.end()){
        keys++;
        characters++;
      }
      else{
        keys += 2;
        characters++;
      }
    }
  }

  cout << "keys : " << keys << endl;
  cout << "characters : " << characters << endl;
}

 

結論:一般的なアメリカ英語における キー数 / 文字数 比率

 

※ 冒頭の「注意点」をご覧の上、このデータの意味すること(と意味しないこと)をよく考えた上でご利用下さい。

f:id:TeruMiyake:20211204223047p:plain

 

ということで、N 文字の英文を入力するために、一般的には N*1.0667 キーの入力を要することが分かりました! 

1.0667 ≒ 16 / 15 ですから、平均 15 文字に 1 回、シフトキー入力が発生するとも言えますね。

 

つまり、英語入力 650 KPM は、一般的には 693.36 KPM と換算できそうだと分かります。

くどいようですが、もちろん、日本語タイピングの 693.36 KPM と 英語タイピングの 650 KPM が同価値ということではありません。両者は別物です。指標として、共通性を持たせているだけです。

文章のジャンルによる違いもある

ちなみに、話し言葉(SPOKEN や TV/MOVIES)では、1 文が短いためか、シフト比率が高いことも見て取れますね。当たり前のことですが、データとして分かると結構面白いですよね。

話し言葉だと 10 文字に 1 回、シフトキー入力が発生しているわけですから、タイパーとしては「小指が忙しそう…… ちょっと打ちたくないな」なんて思うんじゃないでしょうか?

 

あとがき と再度の宣伝

これは、日本語タイピングと英語タイピングに存在する差異の一例です。

こういった違いを一つずつ理解していくことで、タイピングの魅力的な世界を「より正しく」「より面白く」見ることができます

 

このような「細かいけど大事で面白いこと」について、タイパーアドカレ2021 では 12/13 と 12/20 の 2 回に渡って記事を投稿する予定です。ぜひ楽しみにしてください!

極限期のタイプウェル更新戦略 ~中長期的視野に基づくペースコントロールとトライアル戦略で、ギリギリの新記録樹立を引き寄せる~

 この記事は、タイパーアドカレ2020、13日目の記事です。
 (前日の記事はタイパーインタビュー05:しろさん - タイパー・インタビューです)

 

  

1. はじめに

タイプウェルは無慈悲な競技です。

タイプウェルをプレイする上での至上の喜びは「新記録樹立」ですが、頑張れば頑張るほど、新記録を更新すればするほど、次の喜びを得るための壁は、高く険しくなっていきます。
時に、この壁を乗り越えることは一生できないのではないか、と思うこともあります。

私自身、この壁に負けて何度もキーボードから手を離しています。

しかし、一方で、何度も半引退してはタイプウェルに戻って来て、試行錯誤を経て、新記録樹立を掴んできました。
その回数は人一倍多く、「壁を越えて新記録樹立を達成する」という経験において、私の右に出る者は少ないとも自負しています。

私が新記録樹立を目指すに当たっては、戦略…… というほど大げさなものではないですが、強く意識している「修練を積み上げる方向性」のようなものがあります。もちろん、タイプウェルのような単純ゆえに奥深い競技において、多少の工夫ごときで画期的なゲームチェンジが起きることはありません。それでも、ギリギリの伸びしろを削り出し、僅かなチャンスをたぐり寄せるためには、かなり役に立っていると考えていますので、今回それを共有したいと思います。

 

2. 本記事の対象読者

今回の記事の主な対象読者は、下記 a. のような方です。
ただし、b. ~ c. といった方も、何かしらの気付きが得られると期待します。

  • a. かなり記録が煮詰まってきて、伸びしろが見えてから更新するまでに2ヶ月~半年を要する
  • b. 伸びしろは見えているのに、なかなか更新を掴み取れないことが続いている
  • c. 「練習」と「更新狙い」の区別がイマイチついていなく、トライアルにメリハリが無い

つまり今回は、「伸びしろを作る」「基礎力を伸ばす」といったことではなく、伸びしろは僅か、基礎力は頭打ちに近く、後はとにかく打ち続けるしかない…… という状況において、少しでも効率良く更新に近付くためにどう立ち回るか、ということを考えます。


3. ご注意

この記事に書いてあることについて、全て完璧に実践しようとしない方がいいです。

 自分の感覚を文章にして伝えるために、なんとなくカッチリとした理論のような書き方になってしまいましたが、結局のところ、「更新の可能性を少しでも上げるために、最適な打ち方になるよう微調整をしていく。その際、どのような方針で微調整していくのがいいと思っているか」という感覚を言葉にしたものであって、普遍の真理みたいなものではないです。また、私自身、言葉にしながら「いや、確かにこう考えて打ってるけど、ここまでは実践できてないよな……」と感じたことも多いですし、他にも重要なことは沢山あります。

 (ただ、タイピング界の傾向として、物凄くマクロ的で色んな要素を内包した「速さ」みたいなものや、極度にミクロ的な「こういう打鍵列はこう打つ」といったことは多く語られるものの、「ペースコントロール」や「トライアルの繰り返し方」が語られなさすぎるように思っています。

 400打という絶妙な長さは、全速力で打ち切るには長すぎ、安全をとって打ちこなすには短すぎて、「ペースコントロール」が重要になるはずです。また、タイプウェルの記録更新チャレンジを数ヶ月がかりの超超長期戦と捉えると、「トライアルの繰り返し方」も物凄く重要なはずです。今回の記事で、この辺りに光を当てたかったという意図もあります。)

 

4. 戦略を立てるには、まず目的を明確に

本題に入りましょう。

 

戦略を立てるためには、目的を明確にすることが必要です。

「目的って、そりゃ『更新すること』でしょ?」と思うかもしれませんが、それでは曖昧すぎるので、もう少し踏み込んで考えると、目的は以下のようになるでしょう。

目的:何週間でも何ヶ月でも何年でも、何百回何千回何万回でも打ち続け、どれかのトライアルで更新すること(自己ベストのタイムを下回るタイムで打ち切ること)。ただし、可能ならできるだけ早く更新すること(目安としては2〜6ヶ月を目標とする。結果的にそれ以上かかるのは良いとしても、元から半年打っても更新できない見込みなら、むしろ「伸びしろを作る練習」の方が必要と考えられるため)。

「これでは、『更新すること』からあまり変わってないのでは?」と思うかもしれませんが、これは大きな違いです。「更新する」というだけの、期間の概念の無い目的意識から、「長期に渡るトライアルの繰り返しの中で、一度だけ更新できればいい」へと考え方を変えます。

 

5. 目的を言い換えていく(目指す局面への言い換え)

このままだと、何の指針にもなりません。これを、具体的に「戦略 ≒ 更新を勝ち取るためどのように行動するか」に落とし込んでいきたいです。そのために、「どういう局面でどういう状態になっていたら更新が『ありえる』のか?」ということを考えてみましょう。それが分かったら、次は、「更新がありえる状態が増え、更新がありえない状態が減るような行動」を取っていけばいいのです。長期的には、「更新がありえる状態」が沢山発生するようになれば、自然といつか更新できてしまうはずです。


この「自然と更新できてしまうはず」という考え方が、トライアル後半のメンタルコントロールのために非常に大事です。「更新する」のではなく「更新がありえる状態を増やしていくことで、いつか自然と更新が発生する」と考えられる境地(≒ 更新しよう! という力みが発生しない境地)を目指します。これはなかなか到達できないのですが、経験上、何ヶ月も同じモードを延々と打ち続けている内に、だんだんその境地へと近付いていきます。


それでは、どうすれば「更新がありえる状態」が増えていくのか? その答えは単純で、更新がありえる状態で「更新がありえる」と認識でき、更新がありえない状態で「更新はありえない」と認識できるようにしておき、更新がありえる状態ではそのまま打ち続け、更新がありえない状態では積極的に Esc するようにすればいいのです。そうすれば、

  • (1) 更新の可能性そのものが増える
  • (2) 更新がありえると認識している状態に慣れることで、「順当に行けば更新できるはずだったのに、緊張して逃した!」というあるあるパターンを回避しやすくなる

という 2 つの利点を得ることができます。これが戦略の骨子です。

 

とはいえ、「『更新がありえる』『ありえない』なんて識別できるか?」と思われるかもしれません。ここは、具体的に考えてみましょう。


数字を簡単にするため、自己ベストが 24.001 秒、トップラップ10位が2.480秒で、安定性はまあ高い方、というタイパーの場合で考えてみます。(もちろん今回の計算は非常にテキトーなので、実際は自分の特性に合わせて計算して下さい。)


この人の場合、トップラップ10位が2.480秒ですから、ある局面において「これ以降、どこかの行で 2.500秒ラップを叩き出せること」くらいは期待してもいいでしょう(安定性より速度に自信があるタイプなら、2.400秒ラップくらいまで期待してもいいと思います。) また、安定性は高い方としていますから、ある局面において「それ以降の全ての行を平均して3.000秒(=自己べペース)ラップで打ち切れる」ことくらいは期待してもいいでしょう(速度より安定性にかなり自信があるタイプなら、残り全てを平均して2.950秒ラップで打てるくらいまで期待してもいいと思います。)


「トップラップ10位に近いラップを出したり、残り全ての行で平均とはいえ自己べペースを維持することって、そんなに簡単か?」 と思うかもしれませんが、今回は「2〜6ヶ月の長期スパン」「ありえるかどうか」を考えているわけですから、そのくらいは期待してもいいでしょう(逆に、その期待感すら抱けないのであれば、今回のような「とにかく更新を狙う練習戦略」を採用すること自体がそもそも適しません。)

 

では、今回のタイパーの場合の「更新がありえる状態」を、打ち切り時から逆算していきます。

  • 打ち切り時 :24.000 以内で打ち切れば更新
  • 7行目終了時:21.500 以内で抜ければ、8行目で2.500 ラップを叩き出して更新可能
  • 6行目終了時:18.500 以内で抜ければ、残り 3.0 2.5 で更新可能
  • 5行目終了時:15.500 以内で抜ければ、残り 3.0 x2, 2.5 で更新可能
  • 4行目終了時:12.500 以内で抜ければ、残り 3.0 x3, 2.5 で更新可能
  • 3行目終了時: 9.500 以内で抜ければ、残り 3.0 x4, 2.5 で更新可能
  • 2行目終了時: 6.500 以内で抜ければ、残り 3.0 x5, 2.5 で更新可能
  • 1行目終了時: 3.500 以内で抜ければ、残り 3.0 x6, 2.5 で更新可能

(実際は、途中で2.8とか2.9とかが出たりするわけですから、もう少し各行終了時の条件をゆるく考えてもいいでしょう。安定性に欠けるタイプなら、前半の基準はもう少し厳しく、後半の基準はもう少しゆるく考えてもいいです。その辺りはさじ加減をしてください。ただし、理由は5章で書きますが、あまり丁寧に考えすぎない方がいいです。)

 


……なんか、こうして文字にしてみると、当たり前すぎる計算で、情けなく感じられさえしますが…… ともかく、どの時点でどんなタイムなら更新がありえるかが分かりました。私は、まずこれをしっかり考えることがスタートラインだと考えています。


できれば、ご自分の記録を使ってこのように計算してみてください。そうすると、「『更新がありえる局面』って、意外と条件が緩いんだな」と気付くと思います。

 

6. トライアル継続・中止(Esc) の判断

この計算を元に、目標インジケータや経過時間表示などを使って現在の経過タイムを大まかに把握することで、今「更新がありえる状態」「ありえない状態」のどちらなのか、常に大まかに分かるようにしておきます。「更新がありえると思うと緊張するから、分からない方がいいんじゃ?」と考える方もいるかもしれませんが、「更新を全く意識しないようにする」という戦略は基本的に悪手と考えます。人間たるもの、7〜8行目で更新ペースなら絶対に更新を意識せずにはいられないのです。それならいっそ、常に適度に更新を意識することで、その状態をできるだけ平常に近付ける方が良いでしょう。この「適度に更新を意識する」というのは、前述の「このままいけば更新がありえると分かっているけれど、積極的に更新しようとは考えておらず、『適切な打ち方を保っていれば然るべき時には自然と更新される』と思っている」という境地のことです。


また、更新がありえない状態になったときは、基本的に Esc します。ただし、「このまま打ち続けたら何かが得られそう」という場合は往々にしてあるので、その場合は打ち切ればいいです(その何かは、トップラップやノーミス記録更新などの具体的な成果でも、何らかの経験でも、今日一度は打ち切れたという安心感でも、適度に打ち切ることで得られるリズム感でも、何でもいいです。) ただし、「更新がありえる状態」から「更新がありえない状態」に切り替わったことは意識しておくといいでしょう。


(注意)あくまで、地力上げのための練習を積み重ね、そのモードへの慣れ(ワードの把握やどこで加速するかなど)もある程度済ませて、更新のために本腰を入れ始めてからの話をしています。中途半端な時期には、また別の Esc 戦略が必要でしょう。

 

 

もちろん、机上の計算と現実はかけ離れている部分があるので、実際にトライアルを重ねていく中で、「何行目でどのぐらいの状態なら更新がありえるか」の感覚を順次ブラッシュアップしていくことは必要です。ただし、結局これは一種のペースメーカーでしかないので、あまり丁寧・複雑に考えようとしないことも大事です。トライアル中に気が取られすぎるようでは本末転倒だからです。


現実的には、「○行目のここら辺で青ゲージ△個に満たなければ基本 Esc」くらいの感覚でもいいでしょう。自分はもう少し細かく、「○行目のここら辺で青ゲージ△個くらいの状況で上がり調子なら継続かな」くらいの判断を行っています(もちろん、こんな風に悠長に日本語を使って思考しているわけではなくて、トライアルを繰り返していく中で少しずつこの感覚を養っていくイメージです。)

 

 

こうして、戦略の具体的内容の1つである「どんな局面で Esc し、どんな局面で Esc しないか」ということが定まりました。また、副次的に(実際はこちらが主目的ですが)「更新を意識する局面を増やすことで、本当に更新が懸かった局面の緊張を和らげる」という効果が期待できることになりました。

 

7. ペース感の把握と調整

(この章と次の章が一番のポイントですが、若干分かりにくい部分かもしれません。タイプウェルの極意だと思って日々実践していることですが、きちんと言語化するのが初めてだからです。まずは一読していただき、最後の「まとめ」にも目を通してから、再読してみて頂ければ幸いです。)


前章にて、「各行の終了時の目標タイム」を計算することができましたが、実際に更新が発生するためには、その目標を達成する確率を高めていくことが必要です。(6章で書いたEsc戦略だけでも僅かに更新に近付くとは思いますが、流石にそれは小手先に過ぎません。)

 

目標を達成する確率を高めるためには、どうすればいいでしょうか? 恐らく、以下2つのうち、どちらかの考えがすぐ浮かぶのではないでしょうか。「そりゃ、速くキーを打つしかないのでは」という考えと、「そりゃ、安定性を高めるしかないのでは」という考えです。まあ、どちらも間違いではないわけですが、極限期に採用する方針ではないでしょう。それで済むなら、もうとっくの昔に更新できてるはずですから。

 

となると、やはり「どのくらい早く打ち、どのくらいの安定性を目指すか」という「絶妙なさじ加減」というか、「いい塩梅」というか、とにかくそんなようなものが重要です。ペース感によって記録の出しやすさは絶対に変わるはずですから、「絶妙にそれなりの速度で、絶妙にそれなりの安定性」というペース感があるはずなのです。ここのところ、もう少し掘り下げてみましょう。


・さじ加減って? そもそも全力で打てばいいのでは?

絶妙なさじ加減というと、どういうことでしょうか。「23.800秒ペースだと少し早すぎるから…… 23.810秒ペースで打つ!」ということでしょうか。これは明らかに的外れっぽいことが分かります。何故か? それは、ワードによって、またワードの組み合わせによって、適切なさじ加減は異なるから、平均速度を考えても現実的ではないためです。

 

また、「えっ…… てかペース感とかさじ加減とかじゃなくて、そもそも全力で打ってますけど……」と思った人も多いかもしれません。実は、タイプウェルにおいて全力というのは現実的ではありません本当に全力で打っているのかどうか、今から試してみましょう。


例えば、「猿も木から落ちる_転ばぬ先の杖_災い転じて福となす_問答無用_触らぬ神に祟りなし」というワードセットがあったとします。ここで、普段ならどんなペースで打つか、実際に指を動かして、試してみてください。もちろん、ワード慣れするために、何度か打ってみて、ある程度理想に近いような打ち方まで持っていってください。

それができたと仮定します。そこから、更に速度を上げようと思ったら、実はもう少し上げられませんか? 難しければ、部分的にでもいいです。例えば「問答」の部分だけに意識を割いたら、そこだけはもう少し早く打てませんか? もう一度本気で指を動かしてみてください。もちろん、今、安定性のことは考えなくていいです。

 

どうでしょうか? もしこれで速度が上がったのなら、やはり無意識的にペースを抑えているのです。また、速度を上げようとしてミスが出て詰まってしまったという人も、やはり普段は「ギリギリ詰まらないライン」まで、無意識的にペースを抑えていると考えられます。

 


次に進みます。


今度は、先程の5つのワードを、それぞれ別個に何度か打ってみてください。その際、どの文字(アルファベット)をどんな速度で打鍵しているか、よく感じながら打ってください

 

どうですか? ワード毎に意外なほどの変化があったのではないでしょうか。また、一つのワード内でも、かなり速度に変化があり、極端に遅い部分がいくつかあるのではないでしょうか。例えば自分の場合はいわゆる標準運指なので、「災い」「u無用」「触らぬ」「祟r」辺りはかなり遅いです。

 

こうして遅い部分が見つかったら、その付近のペースがどうなっているかを意識しながら、更に何度か打ってみてください。例えば「触らぬ」が遅いとして、「神に」の部分はちゃんと即座に加速して打てていますか? 「触らぬ」のペース感に引っ張られて、大して加速できていなかったりしないですか? その後、「祟r」ではどの程度減速していましたか? その後の「iなし」は、かなりの加速打鍵列だと思いますが、ほぼノータイムに近いペースで打てていましたか?

 

まず間違いなく、どこかの部分で(突き詰めればほとんど全てに近い部分で)、「本来ならもっと加速できていたはずの箇所」=「無意識にペースを落としている箇所」=「甘え」(?)が見つかったのではないでしょうか。このように、打鍵をできるだけ細かく分けていって、それぞれの部分に発生している「甘え」(?)を探っていくような感覚を、まず理解してください。全力で打っているつもりでも、実際は指のポテンシャルを全て引き出している状態には程遠く、無意識的なペース調整が行われてしまっているので、それを少し意識してみるということです。

 


さて、ここまで来て、ペースという言葉の意味が明確になってきました。私は、「ペース」という言葉を、かなりミクロな単位まで考慮して使おうとしています。ペースはワード単位で異なるのはもちろん、ワード(及びワードとワードを繋ぐスペース)の中に含まれる打鍵列単位でも異なります。


・とにかく甘えをなくして、常に最速を目指せばいいか?

では、先ほど見つかった「無意識にペースを落としている箇所」=「甘え」(?)を、どのように捉えればいいでしょうか。今回の記事の趣旨は、その甘え(?)を極限まで削ること…… ではありません。それができれば確かに最強でしょうけれども、それは理想論というか、机上の空論です。少し考えてみると、実現不可能であることがなんとなく分かると思います。

 

(一応、なぜ理想論に過ぎないかについて、私見を書いておくと、このように全てのワードを細かい打鍵列に分割して意識的に甘えを排除するような緻密な打ち方は、極度に組立処理の負荷(「脳がするべき処理」と言い換えてもらってもいいです)が増すため、脳がリソース不足に陥って、先読みが不足したり、ミスからのリカバリーができなくなって自滅するからです。タイプウェルを徹底的にやり込んでいて、かつ、組立処理の負荷が比較的軽いはずの標準運指を採用している自分が大してできていないことなので、恐らく誰もできないでしょう。

 これはタイプウェルの「ランダムなワード列を連続して打っていく」「ある程度の長さ(400打)がある」という競技特性によるものです。e-typing や Weather Typing であれば話は変わって、やり込みが極まると指の運動能力を限界近くまで引き出すことが目標となるかもしれません。)


・そこで、さじ加減

甘えをなくすのが無理であれば、何故こんな話を持ち出したのか? それは、結論から言うと、「甘えをなくすことはできないが、ある程度意識的に調整する」というのが目標だからです。適度に甘えて、適度に甘えを排除するという感じです。その「適度」が、さじ加減です。もちろん、さじ加減はワード(及びワードに含まれる細かい打鍵列)によって異なるので、それぞれに調整していくことになります。

 

もちろん、実際に打っている最中に頭で考えて調整するのはかなり難しい(ある程度は微調整してますけど)ので、この場合の「調整」というのは、事後的かつ長期的な調整です。事後的とはどういうことかというと、例えばトライアルのどこかで詰まってしまった時に、「ここはもう少し丁寧に打つべきだったかな?」などと考えて、自分が適切だと考えるペース感を意識して、数回打ち直します。また、「ここはもう少し速く打てたんじゃないか?」などと考えて、どの程度までなら安定して打ちこなせそうか、数回打ち直して探ります。こうしていく中で、長期的には、無意識的と意識的の中間ぐらいの感覚で、ある程度緻密なペース調整ができるようになっていきます。

 

ちなみに、この時、「ワード単体をギリギリ打ちこなせるか打ちこなせないか」というギリギリのペースを目指すべきではありません。「他の色々なワードと組み合わさって出てきたときに、それなりには安定してギリギリ打ちこなせそうな限界のライン」をよく見極めて何度か打ち、そのペース感を指と脳に染み込ませるよう意識します。更に、「『ギリギリ』打ちこなせるライン」を目指すべきである、ということにも注意してください。20回打って20回打ちこなせるようだと、タイプウェルのペース感としては少し遅すぎです。2〜6ヶ月の長期スパンで最大限の更新を目指しているわけですから、ある程度の確率で詰まりかねないような(20回やれば1回程度は詰まりかねないような)速めのペースが理想でしょう。

 


このように、どんなワード(や打鍵列)で、どの程度攻める(=速く打つ)か、どの程度守る(=遅く打つ)か、ということを考え、最も更新の可能性が上がるように、うまいこと調整し、そのペース感を指と脳に染み込ませることを目指すというのが今回の記事の本質です。

 

この考え方に慣れない内は、絵に描いた餅というか、こんなペース調整なんてできるか? と思うかもしれません。実際、完璧にできる類のものではなくて、「だんだんと近づけていく」という類のものだと思ってください。何ヶ月かかけて、こういったことを考えて調整しながら打ち続けていき、「加速すべき部分で自然に加速し、我慢すべきところで自然に我慢し、通常時は自然に自己べペースを維持する」という状態へとジワジワと近づけていくイメージです。


8. ワード毎のアドとディスアドの把握

ここまでで、この記事で示したい「更新戦略」の本質的部分は終わりですが、それを実践しようとすると、「ワード(や打鍵列)毎の最適なペース感って、そもそもどうやって見つけるのかな?」という疑問が湧くのではないかと思います。これは、5章(「更新がありえる状態」の話)を活用することがコツです。

 

5章では、自分の目指すタイムから、各ラップでの目標タイムを定めました。また、それを実行していくと、常に「今、更新がありえる状態かどうか」を意識しながら打っていくことになります。それを繰り返していくと、ペース把握(今自分がどの程度のペースで打っているかの把握)の感覚が鋭敏になっていきます。絶対音感的なペース感覚ではなく、常に目標タイムを意識しているからこそ把握できる、目標タイムに対してどの程度先を行っているか(もしくは遅れているか)という、相対音感的なペース感覚です。まずはこの感覚を構築できて、やっと更新の下地が整ってきたというところです。

 

これができてくると、ワード(や打鍵列)単位で最適なペース感を考えるとき、「この部分をこのぐらいのペースで打てれば、どの程度アド(目標タイムに対して短縮できる量)を取れるか」もしくは「この部分をこのぐらいのペースで打つと、どの程度ディスアド(目標タイムに対して遅れをとる量)となってしまうか」を大雑把に把握できます。そのアド・ディスアドの量と、そのペースで打つ場合の詰まりリスクを勘案して、ワード(や打鍵列)毎の押し引きを考えます。もちろん、すぐには理想的な形にならないので、数週間〜数ヶ月かけて微調整を重ね続けることになります。

 

(こうして文章にするとかなり緻密な感じですが、実際に打っている最中はかなり緩くて、「目に入ったワードがどの程度の加速ワードか(どの程度の減速ワードか)なんとなく無意識的に分かり、どの程度のペース感に変えていけばいいかなんとなく無意識的に分かる」という程度です。これで十分役に立ちますし、これを身につけるだけでもかなり大変です。)

 

9. 先読みなどを含めた全体的なバランス調整

最後に、この記事の内容を実践しようとして下さった方がいたとして、つまずきそうな部分について書いておきます。今回のようにペースについて考えるとき、それは「先読み」とかなり密接に関わっており、そこが難しい課題なので、その話をします。

 

ペース自体はワードを認識してから無意識的に決めるものですが、そのペースに強く影響する「先読みの速度」というのはワードを認識する前に無意識的に決まっているものですから、「打つべき理想のペース感」と「実際に先読みするペース」の間には乖離があります

 具体的には、打つペースを遅らせた時には先読みが先行しすぎ、打つペースを速めた時には先読みが打鍵に追いつかれていきます。よって、ペース感をコントロールしようとしていくと、先読みのリズムとの乖離により、認識がうまくいかなくなったり、認識が遅れることで打鍵の組立が疎かになったりして、それに起因する詰まりが発生することが多々あります。

 

こういった場合に、「詰まってしまったから速度を落とさないと」と考えてはいけません。打鍵が間に合わないので詰まってしまう場合はペースを落とすしか解決策が無い(打鍵を改善できるなら当然それでもいい)ですが、先読みのリズムが崩れてしまったことによる場合は、粘り強く先読みのペース感を調整すれば改善します。

 


つまり、まとめると、打つべきペース感をしっかりと定めても、それに合わせて先読みのペース感もある程度コントロールできるようにならないと、実際には打ちこなせないということです。これは、しっかりやるのは難しいのですが、大雑把にいえば「減速ワードが来たら先読みも遅らせ、加速ワードが来たら先読みを速める」ということですから、できる範囲でやっていけばいいです。


10. まとめ

色々と乱雑に書いてしまったので、「自分が更新を目指すときにどういう手順を踏んでいるか」という観点から、記事の内容をまとめます。カッコ内に書いてある期間は、その手順にどのぐらいかかるかを示します(ただし、練習の中で微調整していく過程は期間に含めていません。)

 

  • (事前準備)地力上げ、ワード慣れをして、あーギリギリ更新いけるかもわからんねというところまで持っていきます。
  • (覚悟を決める:数日〜数ヶ月)何が何でも打ち続けて更新するんだという覚悟を決めます(これがないと今回の記事のような長期的な微調整は無理)
  • (目標ラップタイム草案の作成:30分)自己べから逆算して、各ラップ終了時にどのぐらいのタイムを目指せばいいかを考えます
  • (インジケータなどを用いたEsc戦略の作成:数十分〜1日)インジケータの設定をいじって、目標ラップタイムとの差をできるだけ無理なく管理できるようにし、「更新がありえる状態」「ありえない状態」を区別できるようにする

 

〜〜これ以降は、トライアルを繰り返しながら並行していくイメージ〜〜

 

  • (目標ラップタイムとの乖離度合いが分かるようにする:1週間〜1ヶ月)目標ラップタイムをペースメーカーとして、今どの程度目標から離れているか大雑把に把握できるようにする(これがないとワード毎のアドとディスアドを計りづらい)
  • (ワードや打鍵列毎に、どの程度のリスクを許容してどの程度のアド・ディスアドを目指すかというさじ加減を微調整し、指と脳に染み込ませていく:2ヶ月〜無限)結局はこれが一番やりたいことです。これをとにかく延々やり続けることで、少しずつ「自然と更新が出る打鍵」に近づいていき、あとは無心で打ち続けていく中でいつか更新がコロンと転がり落ちてきます(という気持ちでトライアルを重ねます。)

 

11. 次回予告

いかがでしたか? あんまり特別なことではなくて、結局タイプウェルは超超長期戦なので、コツコツ理想の打鍵に近付けましょう」という話でした。とはいえ、私はこれがタイプウェルの極意だと思っています。ぜひ参考にしてみてください。

 

次回(12/14)のタイパーアドカレ2020は、かり〜さんによる「タイパーインタビュー記事(のんさん)」の予定とのことです。のんさんは、RTC2018で4位(私は5位タイでした)の実績を残し、WTのような短文形式だけでなくタイプウェルでもかなりの記録を持つ実力派タイパーです。私もインタビュー記事を読むのが楽しみです。みなさんも、ぜひお楽しみに!

タイピング Professionals 電子版の無償公開スタート!

旧ブログからの転載記事です。)

 

皆さん、2011年のコミックマーケット81(C81)で頒布された「タイピング Professionals」をご存知ですか?

 
多彩なタイパー(ガチタイパー、ガチ配列er(?)、ガチ変態運指er(?)、ガチキーボードer(?)などなど……)が集まったサークル「タイピングガチ勢」が執筆した、前代未聞のタイピング合同誌です。
 
コミケ当時は「なのは完売」ばりの完売ぶりを見せ、その後第2刷が通販されたものの、非常に入手困難となっていた1冊です。
 
 
この度、その タイピング Professionals が、電子版(PDF)として無償公開されました!!!!!
 
まだ読んだことのない方も、一度読んだことのある方も、下記リンクからぜひぜひご覧になってください。
 

typing.github.io

 

 
  • はじめての競技タイピング - Typin'Girls by w/h
  • タイピング練習論 by vuttar
  • 新配列のすすめ by kouy
  • 高速化のための特殊配列の習得 by tomoemon
  • 「打ちやすい」キーボード配列を求めて by nooyosh
  • タイピングとキーボード by eigh8_t
  • 英語タイピング by vuttar
  • 我流運指 underground by o-ck
  • 鍵盤打鍵者たちが考えること - Masterminds of Typing インタビュー by w/h
    • Dawn - 黎明期と達人たち (Pocari氏, dqmaniac氏, たにごん氏, むなしい氏)
    • Doping - ネットタイパー文化と現代 (俺氏)
    • Dvoraker - 配列と競技タイピング (Quvota氏)
    • Gamer - ゲームとしてのタイピング (父・信仁氏, あきうめ氏)
    • Weather Typing (モルタルコ氏)
    • タイプウェル (GANGAS氏)
    • 打鍵トレーナー (えむ氏)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
<最後に>
 
PDF版公開のために動いてくださったサークル代表者のtomoemonさん、ありがとうございます!!!
また、無償公開を快く許可してくださった執筆陣の皆さんも、ありがとうございました!