テルのタイピング記

タイパー・テルによるタイピング記(旧ブログ -> http://uta202.blogspot.com/)

東京ゲームショウ 2022 東プレ REALFORCE ブース来訪レポート

まえがき

日本最大級のゲームの祭典「東京ゲームショウ 2022」に行って参りました!

もちろん最大の目当ては、タイパー御用達のキーボードブランド REALFORCE (東プレ株式会社)のブースです。

今回は現在開発中という完全新設計のゲーミングキーボードが目玉展示となっていましたが、タイパーの私としては必ずしも"ゲーミング"であることには特段の魅力を感じないのですが、単純に「新製品はしっかりチェックしておこう」くらいの気持ちで来訪しました。

REALFORCE に関するゲームニュース系記事は多いので、通常は私がわざわざ記事を書く必要も無いのですが、今回は開発中のゲーミングキーボードがかなり期待できるものだったこと東プレブースの社員さんから非常に有意義な話が聞けたので、共有したい(そして東プレは最高だと皆さんに知ってほしい)ので記事を書くことにしました。

tgs.nikkeibp.co.jp

 

開発中のゲーミングキーボード

基本情報については以下の記事などを参考にしてください。

pc.watch.impress.co.jp

game.watch.impress.co.jp

試打した感想など

以前からラインアップされているゲーミング機種の RGB シリーズは、通常の Realforce シリーズと打鍵感がわりと大きく違った(確かわりとクリッキーで打鍵音も大きかったような?)があったように記憶しています。またキー荷重 45g しか無く、all 30g がラインアップされていなかったため、all 30g ユーザーの私としては選択肢に入らない存在でした。

今回の開発中ゲーミングキーボードはしっかり all 30g も用意されており、かつ R2 や R3 など通常のラインアップに近いクセの無い打鍵感でした。また、R3 の黒キートップは表面摩擦が若干強いように感じて私の好みから外れるのですが、今回の開発中ゲーミングキーボードはさらっとした表面摩擦の少ない仕上がりで、期待感を抱かせてくれました。

そのほか R3 は無線接続に対応したことで外枠サイズが大きくなっているところ、開発中ゲーミングキーボードはかなりの省スペースを実現しています。これは好みが分かれるところだと思いますが、個人的には好感を抱きました。省スペース化にこだわるあまり REALFORCE ロゴすら背面に持っていったとのことです。ロゴは前面にあってほしいタイパーも多いかもしれませんが、私としてはロゴの有る無し自体というより、思想が前に出ているところが好みです。

ちなみに、キーがわりと高く浮いたような感じ(意味分からないと思いますが上の記事にある画像をよく見てください)になっています。ざっと試打してみた限りでは特に打鍵への影響は無いように感じましたが、もしかしたら何らかの良い影響もしくは悪い影響があるかもしれません。"ゲーミング"用途に適した形状としてこうなっているのか、デザイン的な理由による選択なのか分かりません。東プレ社員さんに聞いてみればよかったのですが、その場でそういう発想が出ず、聞かずに帰ってしまったのが心残りです。

 

東プレ社員さんへの突撃質問

実はこっちが今回の本題です!

前々から REALFORCE について気になっていたことがあり、勇気を出して質問してみました。

キートップの摩擦についての疑問

手放した R3

私は今 R2(R2TLSA-JP3-BK)を使用しているのですが、実は以前に一度 R3 を購入してから手放しています。R3 を手放した主要な理由は「無線接続の必要が無かったので、R2 の打鍵感が気に入っている以上、特に R3 に換える必要もなく、それなら省スペースな R2 の方が良かった」というものです冷静に考えると「じゃあなんで買ったんだよ」って話なんですけど、まあそれは勢いなので仕方ないとして、手放した理由の一つとして「キートップの摩擦が強く、打鍵感が好みでなかった」というものがありました。

疑問

上記の経験や、機種だけでなくキートップの色によっても打鍵感が違うことも過去の試打で分かっていました。(白は摩擦が弱い)今回のブースでも R3 を試打して再度色による摩擦感の違い(具体的には、R3 黒と R3 白の摩擦感がかなり違う)を再度実感していました。そのことから、以下の疑問が湧いてきました。

  1. なぜ今使っている R2 と今回買った R3 で摩擦感が違うのか?
  2. なぜキートップの色によって摩擦感が違うのか?

疑問 1. については「昇華印刷でなくレーザー印刷だったから」というのが理由の一つであることは分かっていました。まず前提知識として R2 までのレーザー印刷のキートップは昇華印刷と違って ABS 樹脂という材質を用いていた*1ようで、それが摩擦感の大きな違いに繋がっていたようです。ただし R3 ではレーザー印刷でも PBT 樹脂を使うようになった(つまり材質は昇華印刷と同じになった)とのことです。すると材質は変わらないということになりますが、恐らく私の購入した R3 はレーザー印刷であることによって摩擦感に違いが生じていたものと思われます。

疑念と不信感

私は元々レーザー印刷より昇華印刷の方が文字が消えにくい高級な印刷方法であることは認識していましたが、摩擦感に違いがあることに気付いていませんでした。R3 を購入するにあたって、自分の購入したい「黒・静音・all30g・テンキーレス」という条件で昇華印刷のラインアップが無いと知ったとき、「あー昇華印刷無いのかあ。まあ文字が消えても別に実害無いし、いいか~」と軽く考えて、レーザー印刷のものを購入しました。

まあ正直 9 割くらいは「買う前に試打しなかったのが悪かったな」と思ったのですが、1 割くらい東プレさんに対する若干の疑念や不信感が生まれました。それは「なんで昇華印刷のラインアップが無い機種があったの?」ということから始まり、以下のように膨らんでいきました。

  • なぜ打鍵感が違うのに昇華印刷のラインアップが無い機種があったのか?
  • コストや素材在庫等の問題かもしれないが、もしかして「摩擦」という重要な要素を開発陣が軽視しているのではないか
  • そもそも材質や印刷方法による摩擦の違いをちゃんと明確に認識しているのか? 実は大して気付いてなかったりするのではないか?

つまり、REALFORCE が現存する最高のキーボードシリーズであること(耐久性、 APC などの機能性、異常なほどの重量や堅牢なチルトスタンドによる安定性などなど)は疑っていないものの、超高速域のタイピング速度やタイピングの快適性に影響する「摩擦」に対する姿勢は真摯なものなのか? というのを疑ってしまったのです。

疑うと表現すると極端に響きそうなので弁明しておきますが、もちろん、東プレの方々は本気でキーボードを作っていると信じています。だからこそずっと REALFORCE を使っています。ただ、そうは言っても摩擦に対する意識が若干なおざりになっている可能性はあるかも? と思ってしまったわけです。

ブースにいた社員さんへの質問

このように REALFORCE 開発チームの姿勢が知りたかったことや、単純な疑問であった「色や材質による摩擦感の違い」の理由(特に、同じ R3 かつ昇華印刷で摩擦が違うことが不可解だった)を知りたかったこともあり、ブースにいた社員さんに質問をしてみました。

正直、

「我ながらめんどくせえ質問するよなあ…… 社員さんかアルバイトさんか分からないけど、そもそも知らないかもしれないし、知ってても嫌な顔されるかもしれないなあ……」

と思って尻込みしそうになりましたが、質問しないと後悔すると考え、なんとか切り出しました。

以下は、やり取りの再現です。正直細かい話の流れや表現など覚えていませんので、大筋こういう感じだった、という程度の再現です。細かい部分は実際の会話と大分違うと思います。

 

テル(以下、テ)「あのー…… ちょっとお聞きしたいんですが…… 細かいことなんですけれども……」
社員さん(以下、社)「はい、なんでしょう?」
テ「同じ R3 シリーズでも、白キートップだと摩擦が少なくて、黒キートップだと摩擦が強く感じるんですが、これって何故なんでしょうか? カタログなどを見ても材質は特に違わないように思うんですが……」

私としては、この時点で「もしかしたらイベントだけのアルバイトさんかもしれないから、答えられないかなあ」と思っていました。が……

社「そうですね、材質は PBT 樹脂というものを用いていて同じなんですけれども、色が違うと塗料など*2の配合が変わるため、実際の摩擦感は変わってきてしまいます。」
テ(!? めちゃスラスラ答えてくれるやん!? てかメインの材質は同じでも、塗料だけであれほどの違いが出るのか! やっぱカタログだけ見て買うんじゃなくて試打が必須だな……)

ここで「もしかしてこの人めっちゃ詳しいのか!?」と思い始めました。見た目はすごく若くて今風の方だったので、正直オタクっぽい話題についてこれないんじゃないか(偏見がひどい)と思っていたので驚きました。それで調子に乗ってどんどん深く突っ込み始めました。

テ「そうなんですか! ちなみに摩擦が強いのがあまり好みじゃなくて、弱いのが好きなんですが、色は黒が好きで……」
社「なるほど。材質や塗料の違いもありますが、昇華印刷なら少し摩擦が弱くなるんですが……」
テ(おお! 昇華印刷の摩擦の違いも意識してるんだ! やっぱすげえ!)

この時点で「摩擦の違いをちゃんと認識していないかも」という疑念が解消され、早速手のひらを返しはじめましたが、同時に疑問も抱きました。

テ(あれ? じゃあなんで重要性分かってるのに俺が買いたかったモデルは昇華印刷がラインアップされてなかったんだよ? ナメとんか? おォン?)

テ「実は R3 を一度購入して手放しているんですけど、そのとき自分の欲しかった all 30g で静音で日本語配列でテンキーレスの黒キートップモデルでは昇華印刷が無かったんですよね……」

内心、こんな八つ当たりみたいなことを言ってどうする、とも思ったのですが、つい言ってしまいました。嫌な気分にさせるかもと思ったのですが……

社「そうだったんですか、用意が無くて申し訳なかったです…… 今は昇華印刷が用意された機種をかなり増やしている*3んですが、確かに、今でも選べない機種もあります。申し訳ないです。」

テ「……」

半分八つ当たりみたいな発言でしたが、めちゃ丁寧に謝られてしまいました…… この時点で「摩擦の重要性を認識していないかも」という疑念も解消しました。やはり、東プレさんとしても「できる限りラインアップを充実させたい」とは思って下さっているし、そのように動いて下さっているけれども、何らかの事情でそう簡単には昇華印刷を全ての機種に含められるわけではないことが分かりました。

社「…… ただ、追加購入になってしまうので申し訳ないんですが、カスタム用のキートップは全て(!)昇華印刷でご用意させて頂いているので、使いたい機種に希望のキートップが無いという場合は、そちらをご利用頂くこともできます。」

テ「!! なるほど、カスタムキートップは全て昇華印刷なんですか! 確かにそれはいいですね!」

これが、冒頭で話していた有益情報でした。いや、これ自体は大した情報ではないかもしれません。調べれば簡単に分かるからです。しかし、この社員さんとのこれまでのやり取りを踏まえて、僕はこの情報から以下のような解釈を得ました。

  • 東プレさんはキートップの摩擦の重要性をしっかりと把握している
  • それをラインアップに反映する努力をしているが、必ずしも完璧にはいかない(特に新シリーズのリリース当初は難しい)
  • しかし、その解決策として汎用的なキートップを昇華印刷で提供している(もちろん色を変えたいなどの需要に応える目的がメインだと思うが、摩擦感の好みに対応することも目的の一つに据え、社員がその認識を共有している)
  • もしかしたら、色のバリエーションが豊富なことも、塗料の配合による摩擦感の違いがあることも踏まえているのかもしれない(これは考えすぎかもしれないけど、結果としてそういうメリットが生まれていることは間違いない)
結論

私の如きしょーもない人間が東プレ様および REALFORCE 制作チーム様にしょーもない疑念と不信感を抱いてしまったことは大きな間違いだったことを痛感しました!!

やはり東プレ様は神であり、REALFORCE 制作チームは神でした。超高速域のタイピング速度や打鍵感の快適さに重要な影響を与えるキートップの摩擦」に対して東プレ REALFORCE はしっかりと向き合い、現実的な解決策を提供するために全力を尽くしてくれていると確信しました。

こういった細かいことについてしっかりと考えを巡らせて下さっているので、今後のシリーズ展開においても、こういった部分はきっと改善に向かっていくか、少なくとも悪い方向へ進むことはないのだろうと期待させてくれました。

 

ということで、タイパーのみんな! 安心して REALFORCE にいつまでもついていこうぜ!!(宗教)

*1:あまり細かいところまでは調べていないので例外はあるかもしれません

*2:本当に「など」と言っていたか覚えていません。ちょっと曖昧です

*3:後から調べたところ、本当にその通りでした。私が欲しかった all30g 静音日本語配列テンキーレス黒キートップモデルにも昇華印刷がラインアップされていました。